取材場所で合流し挨拶を終えた途端、カメラを手に取りシャッターを押し始めた。それの自由さが彼の性格を象徴している気がする。

今回紹介するのは、服部恭平さん。昨年1月にも取材にご協力いただき、F-MAGAZINEでは、2度目の登場だ。モデルとして活躍する傍ら、今年に入って写真の活動を開始した彼の、フォトグラファーとしての新たな魅力に迫る。

モデル、写真に出会うまで

−改めて、服部さんのこれまでの経歴を教えていただいてもよろしいでしょうか。

学校卒業後、大阪でモデルをやる機会が何度かあって、「こういう仕事があるんだ、面白いな」と思ったのが、モデルをするきっかけです。漠然と面白いことをやりたいなって思っていたときに、出会ったのがモデルで。それで、やるんだったら東京でやりたいなと思って、21歳のときに東京に出てきました。それからずっとモデルをやっていて、写真を始めたのは今年に入ってからです。

−小さい頃の服部さんは、どんなお子さんでしたか?

なんだろう、あんまり覚えてないですけど、多分今と変わってないです。基本真面目で、両親の影響は割と受けていたかな。父は口数が少ない人でした。兄がいるんですけど、兄も無口であんまり話しをしない家庭。ゲームは1日1時間とか、ご飯粒を残さないとかって、躾けはされていた気がします。僕は学生時代、勉強と恋愛しかしてなかったです。

—恋愛ですか。過去にはどんな恋愛をしてきたのですか?

女の子を好きになって、デートをして、そんな感じです。その時々ですけど、僕あんまり上手く行かないんですよ。現代文の先生を好きになったりとか、色んな形で恋をしていたんですけど、ほとんどが片思い。6年ぐらい片思いしていたこともありました。

愛するものに会いに行く

−カメラを始められたのはいつ頃から? どうして始められたのですか?

今年に入ってからですね。ある女の子に写真を撮らせてもらう機会があって。写真を撮っている瞬間って、その女の子と1番近いわけじゃないですか。凄く近くで撮るし、レンズ越しにこっちを向いてくれるし。それが今まで味わったことのないくらい、暖かくて愛のある行為だったので、これはやらなきゃいけないなって。

−以前ご協力いただいた取材の際には、モデルになった理由を“愛されたかったから”と答えていらっしゃいましたよね。モデルからフォトグラファーになって、愛される方から愛する方へと変わったのでしょうか?

基本的にはどっちもですよ。写真を撮るってなったら愛するものに会いに行くわけですけど、向こうからも愛がないと撮れないので。結局愛されたいんですよね(笑) だから自分が愛していないものは、あんまり写真に撮りたくないし。

−では、服部さんが愛するものや美しいと思うものはどんなものですか?

割と何でもありますけどね。僕の写真を見ていたら、僕の好きなものが多分出てきていると思うんですけど、1番はやっぱり人かな? 自分の考えを変えてくれるのって、人が大きいと思うので。話していたら気持ちが変わったりだとか。あとは空とか猫も良いですし、道に落ちているゴミとかも、何でも良いです。

服部恭平が放つ写真の魅力

−服部さんのお写真って、人が写っているものが印象的で、素の表情のようなものを引き出している気がします。人を撮るときにその人の魅力を引き出すために、意識していることはありますか?

特にはないんですけど、なにかしらの撮影のときに、僕もモデルをやっているんで、嫌に感じる部分とかもあるんですよ。だから、そういう撮影は絶対にしたくない。それくらいかな? あとは僕が見たいものを撮っているんで、素の感じが多い。もっとお金をかけたり、素敵な状況で撮っている写真家さんいっぱい見てきているので、別にそれっぽく撮らなくて良いんですよ。

−インスタグラムに写真を投稿される際に『#へたくそでいい写真』というタグをつけていらっしゃることもありますよね。それも、このためですか?

そうです。みんな上手いんですよね、写真。絵葉書とか駅のポスターとかの写真って、本当に上手い人が撮っていて。あんまり上手い下手の定義が曖昧ではあるんですけど、そういう写真は他の人に任せたいなって思っていますね。

−それでは、服部さんご自身は自分の写真にしかない魅力って、どこにあると思いますか?

僕の愛が入っているか入っていないかだけです。雑誌とか他の写真にも同じ人や物が載っていたりするわけじゃないですか。でも、僕が良しと思わなかった人や物は、僕の写真には多分出てこないんで。そこしかないと思います。

フォトグラファーという在り方

−フォトグラファーとモデルって全く別の仕事だと思いますが、両方を経験されている服部さんなりに、共通点を感じる点はありますか?

やっぱりなんか、愛は感じますけどね。撮影によって選ぶ人は変わりますけど、モデルって基本、人が選んでいるので。愛されている人たちがモデルの仕事できるんですよ。だからモデルの仕事好きですし。モデルからは逆に選べないですけどね。

−確かにモデルは選ばれるのを待つ側ですもんね。

選べないっていうのは何かと不便で。自分がいいなって思っている人が居ても、何もできないわけじゃないですか。だから、そういうのは写真でやりたいなって思っています。モデルって基本的にはお世話になるばっかりなので、そういう人たちに恩返しじゃないですけど、何か一緒にやりたいって思うこともありますし。写真だったら、スタイリストさんやヘアメイクさん、モデルにも頼めますから。

−今年からということで、まだ期間で言えば短いとは思いますが、「写真をやっていて良かったな」と思う瞬間があれば教えて下さい。

毎日楽しいかな(笑) 写真って凄いんですよ。朝、部屋に入ってくる日差しとか何でも写真になるので。カメラさえあれば撮れるし。天気が良かったら出かけたりもするし、写真を撮りたいなって思えるような友達から誘いがきたら行ったりするし、基本的に写真ベースの生活を送っています。

描く未来と生きる目的

−色々やってきた服部さんだと思いますが、写真の他に今後やってみたいことはありますか?

結婚。あとはラップくらいですかね。この前も友達が誘ってくれたので、フィーチャリングで参加したんですけど、難しいですね。まぁ楽しいんですけど。今後どうこうっていうよりも、今やりたいことをやりたい人なので、それが写真なんですよね。だから今は写真しかない。でも、やっぱり結婚したいかな。同棲すれば広い家に住めるし、家でも撮影組めるかもしれないですよね。

−その恋愛や結婚が、写真に現れるとまた面白いですよね。

今はしてないんですけど、したいなって思います。理想を言えば、奥さんがいて、ずっと奥さんの写真しか撮らないとか。日本じゃなくて良くて、海外とかに住んで奥さんの写真だけを日本のどこかに送って本にしてもらってみたいな。昔から、最愛の人と生きることを目的に僕は生きているんですよ。だから、良い仕事もしなきゃいけないし、お金も稼がないといけない。もっと魅力的な男の子にならなきゃいけないなっていうのは常に考えています。それで写真も撮れたら、1番良いですよね。

−ありがとうございます。最後に言い残したことがあればお願いします。

全然写真の話してない気がしますね(笑) 僕の分からないことが多いからか。基本的に僕って写真のこと何も分かってないんですよ。ただ撮っているだけで、別にずっとやっているわけでもないし。ただ、写真のことはずっと考えていて、好きな分やりたいことがどんどん出てきて、今年はそれをずっとやってきた感じ。正直、自分の写真の何が良いかは僕自身も分からないんですよ。撮っている時は良いんですけど、撮り終えた前の撮影は僕の中であんまり魅力的な写真じゃなくなってしまう。次のやりたいことが出てくるんです。

 

「基本的に馬鹿で何でもない人間」と自身を語る服部さん。しかし、その姿はあまりにも自分の愛するものに対して素直で、飾っているように見えない。だからこそ私たちは、モデルとしてフォトグラファーとしての彼に魅力を感じてしまうのであろう。

服部恭平(はっとり・きょうへい)

モデルエージェンシーAMAZONE所属。21歳のときにモデルをやるために大阪から上京し、ファッションモデルとしてし、東京コレクションなどのショーやブランドLOOKで活躍している。2018年より、フォトグラファーとしての仕事もスタート。写真歴数ヶ月にも関わらず、早くもi-D JAPAN等の雑誌や海外ウェブマガジンにて多数起用されている。

Instagram:@kyoheihattori

HP:kyoheihattori.com

 

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