ここ数年、kotohayokozawaやKEISUKE YOSHIDAなどを筆頭に、東京の若手デザイナー達の活躍がめまぐるしい。先月開催されたAmazon Fashion Week Tokyoにて、華々しくデビューを果たしたブランドのAKARI MIYAZUもその1人だ 。新たな東京ファッションシーンを作り上げてくれるであろうデザイナー・宮津明理に、デビューに至るまで、そして今回のコレクションについて伺った。

宮津 明理を育てた場所

―まず始めに宮津さんのこれまでの経歴を教えて下さい。

今年の春に文化服装学院を卒業しています。2年生の頃から、ここのがっこうに17期として通い、その後ファッションガレッジ桜丘のプロフェッショナルデザイナーズラボにてモトナリオノの小野さんの元でも学んでいました。

―3つの場所で学んでいたって少し珍しいですよね。宮津さんの中で、それぞれ学び分けのようなものがあったのでしょうか。

元からそれを狙っていた訳ではないんですけどね。文化服装学院で洋服作りを学んでいて、その中でもコトハヨコザワの横澤さんと出会ってインターンをさせてもらっていたんです。そこで横澤さんに、「ここのがっこうに通ってみたら?」と勧めてもらって、ここのがっこうではデザインやクリエイティブな面を学びました。17期を終えた後も、そのままここのがっこうに通おうかなって思っていたんですけど、ある時知り合いがモトナリオノの展示会に連れて行ってくれて。そこで小野さんと出会って、プロフェッショナルデザイナーズラボの存在を教えてもらって、ずっとブランドがやりたかったこともあり通うことになった流れです。

―色んな環境で色んなものを吸収された宮津さんだと思うのですが、中でも強く影響を受けたものはありますか?

やっぱりプロフェッショナルデザイナーズラボですね。小野さんが全部教えてくれるし、環境も整えてくれて。やりたい方は是非来てくださいっていうスタンスなんですけど、小野さん自身宣伝とか全くしない方なので、生徒が私しかいないんですよ。私が1人目(笑)

―今年、学校を卒業されたばかりですから、比較的早いブランドデビューとなったと思います。自分でブランドをやることはいつ頃から意識されていたのでしょうか?

多分ブランドをやりたいっていうのは、高校生の頃からとかあったんじゃないかなって思います。親からも「自分でブランドがやりたいの?」って聞かれた時に、それって1番凄いことじゃないかと思った自分がいて。到底出来ることではないってどこかで思っていたんですけど、ただ自分のやりたいことではあったのかなという感じです。

―展示会を経てショーに挑戦するブランドが多い中、デビューコレクションからショーをやるという道を選ばれたと思います。宮津さんの中には、ショーに対する特別な想いが?

ショーをやっているブランドとして出したかったっていう想いも強いんですけど、効果的な方法でデビューしたかったっていうのが1番ですね。ブランドを立ち上げて今後やっていくと考えた時に、どういう風にするのがベストなのかっていうところで。やりたいっていう想いもありましたし、機会を貰えるのであればやってみようという感じでした。

周りの人と作り上げた東コレ

―そこで東京コレクションにて実際にショーを行ったわけですが、終わってみて宮津さんが感じる率直な感想を教えて下さい。

ものすごく大変でした。どのデザイナーさんにとっても、多分大変なことだとは思うんですけどね。でも、最後バックヤードに戻った時に一緒にショーを作り上げて下さった皆さんが拍手で迎えてくれたとき、最高に幸せを感じましたね。お客さんの反応とかよりも、それが一番嬉しかった。

―普通のランウェイではなく、木々や照明、生の演奏とかなりこだわりが詰まった印象を受けました。東京コレクションに出すにあたって、どのくらい前からショーの準備を?

プロフェショナルデザイナーズラボでも、ずっとショーを意識した流れで学んでいたのはあるんですけど、実際に今回のショーに向けて動いたのは7月くらいから。今まで溜めていたものを形にするっていうのは、やっぱり最後の2,3か月が一番濃かったですね。

―初めてのショーで大変苦労された宮津さんだと思いますが、一緒に作り上げて下さった皆さんも沢山いらっしゃったと思います。そこには、どんな方々が?

演出のメンバーには、コンセプトや雰囲気、世界観とともに、こういうのがやりたいっていうのを伝えさせていただいて、それを元に企画してもらいました。それで、あの素晴らしい演出を手掛けて下さったんです。あとは、デザイン画を元に私の服を形にしてくれたパタンナーとか、ほんと周りの人に協力してもらって。皆さん1人1人のおかげで今回デビューすることが出来たので、数えきれないくらい感謝しています。

―今回のコレクションでは、ブランドがまだ若くて経験も少ない分、周りが助けて下さった部分も大きいのではないでしょうか。この先、ブランドとして年数、経験を重ねていくにつれて、その立場や形っていうのは変わっていきそうですか?

ブランドのコンセプトもそうなんですけど、ブランドを通して幸せを届けたいっていうのが自分の中で強いんです。何かと戦って頂点に立つというよりは、そういうのではなくて、少しでも皆さんにハッピーになってもらいたいなっていう想いでブランドをやっているので。だから、そのためにはブランドを継続するための努力をして、お手伝いして下さっている方々に少しずつ恩返しができればなって思います。あとは、お客さんやスタッフへの感謝の気持ちを忘れずに、全体的にポジティブなものを生み出せるブランドになっていけたら良いですよね。

AKARI MIYAZU 2019SS

―そんなアカリミヤヅのファーストコレクションについて教えて下さい。

ブランド全体として“生命”を表現したいと思っているんですけど、今回は『輪廻』というテーマでコレクションを行いました。都心でよく見る景色ですが、毎日スーツを着て、通勤電車で揺られて、コンクリートだらけの街を歩いて。田舎とかだと全く違うのかもしれませんが、そういう日常に冷たくて殺伐とした印象を受けてしまうことがあったんです。どこの国へ行っても生活の便利な首都圏は似たような感じだし、この先きっと益々そんな世界が広がっていく。そんな中で、「私たちって生きているんだよね」ということに気がついてもらいたいし、「何か幸せが目の前にある」ということを伝えられたいなと思ったコレクションです。

―『輪廻』がテーマということですが、それをデザインでどのように表現したのでしょうか?

やっぱり、うねりや筋っていう部分が大きいですね。地層とか波とか。虫の模様とかもそうなんですけど、うねりとか筋のような“生命”を感じるものって流れるものが多いように思うんですよね。それを服に落とし込んで表現しました。

―コレクションを完成させるにあたって、特に苦労したポイントはありますか?

女性の強さと柔らかさを表現したかったんです。大和撫子みたいな。それをどう形にしようかっていうところに少し苦労しましたね。デザイン画が意外とモードなのでハードっぽくなってしまうことも多いんですよ。柔らかさを持たせて繊細にしていくという作業が、私の場合は難しいところでした。

―“女性の強さと柔らかさ”とのことですが、宮津さんがブランドを通して思い描く女性像について教えて下さい。

ファンタジーみたいな異世界になってしまうんですけどね(笑) 綺麗な木があって、そこに光が降り注いでいるんです。そこには鳥たちもいて、花も周りに生えていて。生き物たちが神秘的な雰囲気で微かに動いている。全体の色味は、ピンクとか暖かい感じ。そこに女性が居るんですけど、外見は柔らかい雰囲気の人。でも、心の中の芯は凄くしっかりしているんです。そういう世界で、強い心を持って生きている女性っていうのが頭の中で描く像ですね。

―ショーに登場したモデルさんは、他のブランドのショーと比較すると西洋や欧米のいかにも“モデル”といった方が少ない印象で、日本人やモデルにしてはあまり背の高くない方も多かったですね。そこにも何か理由が?

最初から日本人女性を使いたいなってイメージしていたんですよね。今回のショーは世界観を表現する場所だったので、外人モデル全員を使わなくても、そこの美しさは表現できるなって思っていて。それに私の考えなんですけど、女性ってどんな人でも万人が美しいと思っているんです。悪いところもあるかもしれないけれど、そこに目を向ける必要はなくって、みんながそれぞれの美しさを持っているって。そういうメッセージを込めたかった気持ちもあります。だから、モデルも西洋モデルじゃなくてもいいんじゃないかって、モデル選びを。まぁ、今回出てもらったモデルたちもみんな細くて可愛いんですけどね(笑)

―今回、ファーストコレクションをショーという形にて終えられましたが、次以降のコレクションについてどのように考えていますか?

ショーというあの空間にいてもらうことで、「アカリミヤヅってこういうブランドなんだ」っていう部分を、視覚聴覚全ての面で少しは感じていただけたのではないかなと思っています。今回のファーストコレクションは、ブランドの世界観を効果的に知ってもらうために行ったので、次回もショーが出来るかは分かりません。でも引き続き、自分が素敵だと思うような服を作って、展示会等で1人でも良いから幸せを届けられたらいいなって思いますね。

ブランドの目指す先とは

―最後に、アカリミヤヅというブランドを通して、宮津さんの目標を教えて下さい。

完全な量産ではあるけれども、ちょっと工夫したものを作っていけるブランドにしたいです。あとは自分が着る服がストリートっぽいものも多いので、自分が着られる服も同じブランドの中でバランスを取りつつ作りたいなって思います。その中で数年は、アカリミヤヅというブランドをもっと広く認識してもらうために、自分の世界観を知ってもらうための服を継続して作っていきたいですね。

華々しいデビューとは裏腹に、周りへの感謝と謙虚さを忘れない宮津明理。そんな彼女の姿勢こそが周りの人を巻き込み、良いクリエーションを生み出すのであろう。しかし、AKARI MIYAZUの物語はまだ始まったばかり。今後の活躍に注目だ。

宮津 明理(みやづ・あかり)

1995年生まれ。文化服装学院在学中、インターンで通っていたkotohayokozawaの横澤氏による勧めにより、ここのがっこうに17期として入学。その後、専門学校ファッションカレッジ桜丘のProfessional designers laboにてmotonari onoの小野指導の元、2018年に『AKARI MIYAZU』を開始。東京コレクション2019SSにて、ファーストコレクションを発表した。

Instagram:@akari_miyazu

HP:akarimiyazu.com