オルタナティブロック発祥の地・イギリスで、今世界的にその人気を広げている注目度大の若手ミュージシャン3名を、簡単な経歴と共に紹介。

1、孤高かつ繊細な感性。King Krule(キング•クルール)

シンガーであるArchy Ivan Marshall(アーキー•イヴァン•マーシャル)は1994年ロンドン生まれ。

2010年よりZoo Kid(ズー•キッド)名義でレコーディングを始めるが、2011年よりKing Krule名義で活動している。学校に行くのを拒否したりと引きこもりがちな少年時代を送るも、アートスクールにて創造性が開花。演奏や作詞作曲だけでなく、自身のミュージッククリップ制作やアルバムのアートワーク、ファッションにもその美的感覚が発揮されている。

抑うつや不眠症などの精神疾患を抱えており、年齢にはそぐわない繊細かつダークな歌詞や曲調が多い。2017年に発表された二作目となるアルバム『The Ooz』はなんと19曲収録、1時間6分という時流を無視したボリュームであり、全体的に『夜に酒を飲みながら一人で浸りたいような』曲調が続く。現代の世相とマッチングしているかのような暗さや、音楽性の幅の広さとマニアックすぎないバランスの良さが世界的な高評価を受け、なんとあのカニエ•ウエストからもレコーディングのオファーがあったと告白している。

「色々とリッチになれる機会はあったんだけど、邪魔されたくないから断った」という、正直かつ余裕のある回答にも大物感があり、最も注目され影響を与えているロンドナーのひとりである。

 

2、快晴のフェスで聴きたい。Cosmo Pyke(コスモ•パイク)

Cosmo Pyke(本名)は1998年生まれのジャマイカ系イギリス人。シンガーソングライターでありながら、スケーター、モデル、グラフィティアーティストでもある。

サウスロンドンで育ち、パブに行くことやサッカーをすることが好きという、キング•クルールとは真逆のようなシンプルなライフスタイルである。2018年には日本での単独公演と、サマーソニックにも参加。自身の音楽性について「スペーシーで美しくて、ゆるい」と語る通り、太陽のもとで友人とまったりくつろげるような曲調が印象的だ。

最新作は2017年発表の『Just Cosmo』。5曲入りのこのEPで彼は恋愛やマリファナ、SNS上でのガールフレンドとのいざこざなど、ミレニアム世代らしい等身大の日常生活を歌う。

深遠な音楽に浸るのも良いが、疲れたときや何も考えたくないときにさらっと聴ける音楽の存在は、この現代社会において大切である。彼の音楽は何もジャッジせず包み込んでくれるような温かさを持っている。

3、10代とは思えないカリスマ性と声。Yellow Days(イエローデイズ)

本記事で取り上げた上記アーティスト2名共が10代にしてそうは思わせない才能を発揮していたことは確実であるが、Yellow Days、本名George van den Broek(ジョージ•ヴァン•デン•ブローク)は現役のティーンエイジャー。イギリス南部のハスルミア出身。シティボーイとはほど遠いと思いきや、音楽、ファッション、作品のアートワーク、奇抜な髪型など全てにおいて洗練されており、自分をどうみせれば良いのかが既に知っているかの様子だ。

ブルースやソウルから影響を受けた曲調と、天から授かりし熟成した声。そこにローファイギターやシンセシンセサイザーで現代的要素やエフェクトを入れ、自身の多感な心情をダイレクトに歌い上げるさまは感動を呼び、現在コンサートは常に満員だという。

17歳でSoundcloudに自身の楽曲をアップロードすることから始め、現在の地位に至るという極めて現代的なサクセスストーリーを辿った彼の今後にも目が離せない。

まとめ

今回は、まだ大々的には知られていないミュージシャン3名を紹介した。しかし、明るくキャッチーなサウンドが特徴的なRex Orange County(レックス•オレンジ•カウンティ)や、De La Soul(デ•ラ•ソウル)とのコラボレーション『It Runs Through Me』が記憶に新しいTom Misch(トム•ミッシュ)など、UKのセンスのいい若手ミュージシャンは上げればきりがない。

そこで、活躍が期待される彼らに共通して見えてきたことがある。

1、ネット世代である影響か自分の魅せ方がうまい。音楽だけではなくアートやファッション面でのセンスもある。

2、前時代のブルースやジャズ、ソウル、レゲエ、ヒップホップへの造詣とリスペクトが深く、ただそれを模倣するのではなく、吸収、消化した上で現代化する術に長けている。

この2点である。音楽のみならず、今後どのようなカルチャーを築いていくのか注目だ。彼らの音楽は、Spotifyなどの音楽配信サービスで気軽に聴けるので、是非UKアンダーグラウンドを開拓して頂きたい。