Vernissage de l’exposition J/E à la Galerie du 5ème, magasin des Galeries Lafayette de Marseille Saint Ferréol. Vendredi 17 juin 2016

陶芸家:Natsuko Uchino(ナツコ・ウチノ)。

陶芸を好む方でも、もしかするとあまり聞き覚えのない名前かもしれない。

ニューヨークの私立大学Cooper Unionを卒業後、CCA北九州に一年居住。兵庫の陶芸家大西雅文氏と仕事をしたことがあるものの、彼女はフランス育ちだ。 25歳の頃に農園に移り住み、そこで出会った農業とアートを基礎として陶芸に没頭している。

現在フランス西部のLe Mansで美術を教えている彼女は陶芸家としてフランス版Numéroのインタビューに答えた。 自然と環境に常に敏感だと評される彼女の作品と観念はどのように生まれ、彼女はこの素材にどのような考えを抱いているのだろうか。

「田舎」との出会い

現在ウチノは35歳。アメリカ、日本と各大学での学業を終えた後、今からちょうど10年前に、蜂の保護団体としてアメリカからキューバに渡っていたPeter Nadin(ピーター・ナディン)と出会う。

今回は彼について深く話すことができないので、2018年の10月から11月にかけて彼が行ったハヴァナでのエクスポの動画を紹介したい。

彼はニューヨークのキャッツキル山地における田園生活の再開発プロジェクトの一員として、ウチノを招いた。それが彼女が農業や田舎に魅せられたきっかけとなる。

« Le mingei [artisanat populaire] ou les matériaux naturels découle de mon expérience pastorale dans les montagnes Catskill, et de ma redécouverte du Japon. “

「民芸や自然素材というものは、キャッツキルにおける私の経験と、個人的な日本の再発見に由来してる。」(Numéroより)

何よりこのプロジェクトの分野は多岐に渡っており、ウチノはそこでアートと農業に限らず、エコの考えや職人気質を養い、それらが混ざり合い今の彼女の基礎的な知識となっている。

陶芸に考えること

先に述べたような知識や経験を得た彼女が今目を向けるのが陶芸。今世界的に芸術の素材として人気なセラミックだが、彼女はこの物質にどのような思いを抱いているのだろうか。

« J’ai été attiré par le materiau dans tous ses états : l’écologie des sols avec agriculture alternative, et l’argile, pour son potentiel de transformation et de présentation. (…) Plus récemment, la céramique a joué un rôle charnière entre agriculture, paysage, environemment et convivialité. »

「自在に姿を変えられるのがセラミックのいいところだと思う。粘土になったりもして、私はその全ての状態に魅了されたの。農業、景色、環境、それに柔らかな雰囲気のそれぞれの変わり目の役割をセラミックは果たしてると思う。」(Numéroより)

あらゆる姿に形を変えることができる、それは物質的な話だけではなく、セラミックが持つというあらゆる自然の環境の境目を埋めるという意味で、精神的な「姿」の話でもある。

Vernissage de l’exposition J/E à la Galerie du 5ème, magasin des Galeries Lafayette de Marseille Saint Ferréol. Vendredi 17 juin 2016

農業に携わったことで特に土壌に重点を置くウチノの作る皿や椀はデコレーションとしてだけではなく、 « le retour à la terre » 、「大地への回帰」という壮大なテーマを語るとされている。

影響を受けた人、そしてネット世代として生まれたこと

キャッツキル山地のプロジェクトに参加するずっと前から身を捧げてきたアート。その出会いはフランス人アーティストSohie Calle(ソフィ・カル)Le Carnet d’Adresseを始めとした彼女の著書だと語る。

カルは変装して一人の男性を2週間尾行したり、母親に探偵を雇わせて自分を調査させるなどして、人の生の行動を写真に捉えたアーティストだ。 そんな彼女の著書から得たことは今回のインタビューでは語られなかったが、きっとウチノのアートや数々のプロジェクトを見ればどこかで気づくことだろう。

また彼女はインターネット世代として生まれた。フランスにはインターネットが普及する以前からオンラインでの購入や株価チェック、チャットのできるミニテルというものが、ウチノの生まれる3年前にサービス開始されている。

ウチノは仕事用にtumblrを持っているが、インスタグラムのアカウントは持っていない。そんな彼女は今広がりきったネット社会をどう見るのか。

« Internet affecte tout le monde contemporain. Et surtout les personnes qui (…) n’y ont pas accès. Oui, c’est réalité, les notions de rhizhomes et de contenu fluide éternellement réorganisable changent forcément ma manière de structurer ma pensée. » 「インターネットはこの世の全ての人に害をなすもの。インターネットを見ない人にとっては特にね。残念だけどこれが現実で、永遠に移り変わる内容を持つ知識っていうのは私の哲学方法を間違いなく変えたわ。」(Numéroより)

アメリカ、そして故郷である日本での勉学。田園生活再開発プロジェクト。子供の頃から読んだアーティストの著書。彼女が歩んだ形跡には無駄なものがない。それは彼女のインプット能力の強さだ。

触れ合ったものをしっかりと学ぶその姿勢が今セラミックの物質的精神的特徴を見出し、彼女自身を陶芸にのめり込ませているのだろう。

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