ベルギー出身で90年代のファッションシーンを大きく揺るがしたと言われるトップデザイナー、Raf Simons(ラフ・シモンズ)。クリスチャン・ディオールの元クリエイティブディレクターを務め、昨年はカルバン・クラインとの突然の契約解除で世間をまた騒がせている。

規制のクラシックなテーラードスタイルに、ストリートカルチャー要素を組み入れた作風が特徴的なラフ・シモンズのデザイン。ユースカルチャーを代表するファッションデザイナーの鬼才である。彼の今後の挑戦はいったいどこへ向いているのか。ラフ・シモンズの人物像をご紹介したい。

Raf Simons(ラフ・シモンズ)、出身はインテリアデザイナー

ベルギー出身のファッションシーンと言ったら、アントワープ王立芸術アカデミー出身のデザイナー、マルタン・マルジェラらが率いる「アントワープの6人」が有名である。モードの新しい波を従来のファッション業界に持ち込み1990年代の伝説になったファッションムーブメントだ。ラフ・シモンズも一見同じカテゴリーに入るデザイナーだと思われがちだが、彼は他のアントワープのデザイナーと比べると若干異なり、インテリアデザイナー出身という経歴がある。

-ファッションは独学で学んだ

彼がまだインテリアの道を歩んでいた当初、仕事のインターンでパリ・コレクションに訪れたのがファッションに興味を持ったはじまりだと言う。独学で服造りを学び、自作のコレクションを持ってアントワープに移る。

入門お断り「あなたはここで学ぶ必要がない」

彼の当初の意志は、アントワープ王立芸術アカデミーへの入門だった。自作のコレクションを持って大学へ訪れた。しかし、当時のファッション学科長リンダ・ロッパによって逆にその才能のすごさが認められ支援まで受けたという。リンダ・ロッパの後押しもあり、1995年自身のブランド「Raf Simons(ラフ・シモンズ)」を立ち上げ、ミラノデビューした。その後、パリに移り3シーズンはここでコレクションを発表した

一時は引退、休業も?

1999年、イタリア、トスカーナの高級革製品ブランド「Ruffo Research」のデザインを担当した後、一時期の休業期間に入り、オーストリアのウィーンの美術大学でファッションを教えた。ラフ・シモンズのデザイナーとしての内部構造を休止中に見直す。しかし、その期間中もスイスのコンテンポラリー・デザイナーのコンクールでグランプリを受賞している。

ジル・サンダー、ディオールでの勤務

2005年、プラダグループにあった「ジル・サンダー」のクリエイディブ・ディレクター就任が決まったラフ・シモンズは、再度またファッション業界へ復帰した。2008年には東京に自身のお店もオープンさせている。

2012年、ジョン・ガリアーノの後継者として「クリスチャン・ディオール」の勤務へと移り変える。その様子は映画化にされるほど大胆なものだった。ドキュメンタリー映画「ディオールと私」では、彼の最初のオートクチュール・コレクションを手掛ける様子が鮮明に描かれている。

新ディオールをリードするポジションを3年間務めた後、2015年突如の辞任が発表される。自身のブランド強化と他のブランドとのコラボレーションを優先させたかったようだ。

カルバン・クラインに新しい波を持ち込む

ラフ・シモンズのファッションキャリアはディオールの勤務を終えた後も滞りを見せなかった。2016年、アメリカのメガブランド「カルバン・クライン」のチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任。ヨーロッパの質とトラッドで新鮮なスタイルをニューヨークに持ち込み、昨年12月、またの突然辞任の期間中まで「カルバン・クライン」をアメリカのユースカルチャー向けに盛り上げた。

当時ヨーロッパからアメリカに移り住んだラフ・シモンズはGQのインタビューでこう答えている。

ラフ・シモンズ:ニューヨークは僕が常にインスピレーションを受けて来た都市。ここでのものづくりは以前とは異なる影響が絶対入ってくると思う。ヨーロッパとアメリカのスタイルは異なるけど、僕のルーツは変わらない。抵抗はデザインの形にもなり得る。

(GQより)

ラフ・シモンズの今後の挑戦

先月行われたメンズ・パリ・コレクションでは、アディダスとのコラボレーションシリーズ、NEWスタンスミスを最新の3Dプリント技術を使って発表したラフ・シモンズ。彼の今後の挑戦はどこへ向かっているのか。

ラフ・シモンズ:僕が本当にやりたいことは、ファッションではないんだと思う。映画やアート作りに興味がある。ファッションはデザイナーキャリアの訓練になったけど、今は時代がもう変わってしまった。

僕を批判する悪いリアクションは、昔は気にしていたけど今はもう逆に良い意味に捕らえられるようになった。僕のクリエイションはもっと小さなスケールの方が機能すると思う。

(New York Times)

ラフ・シモンズの新たな動きが今後も気になる所だ。

 

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