世界各地の民族衣装や祭礼のコスチュームを撮り続ける、少し異色のフランス人フォトグラファーCharles Fréger (シャルル・フレジェ)をご存じだろうか。

日本各地で撮影されたお祭りのポートレート集「YOKAI NO SHIMA」が世界中で絶賛されたことをきっかけに、日本でも知名度が上がっているフォトグラファーだ。モード界でもマルタン・マルジェラとのコラボレーションなどで話題となった。 シャルル・フレジェの不思議で奇妙なポートレートの世界感を特集したい。

奇妙な民族衣装

世界各地の変わったお祭り衣装や、儀式のポートレートを撮り続ける異才の写真家シャルル・フレジェ。彼の写真集「WILDER MANN」そのファンタジーのような奇妙な世界観が一気に話題になり彼の魔力が世界中に知られるようになる。

「WILDER MANN」は、猛獣のように毛皮を全身にまとわせた変なキャラクターや、ワラを使って作られた原始的な民族衣装などが収集されているポートレート集。この写真集に登場する不思議なキャラクターは、古くから世界各国で催されている季節の変わり目や生と死を記念した伝統儀式や、土地のお祭りで本当に実際存在する登場人物でもあるから驚きだ。オーストリアやポルトガル、イタリアのサルデーニャ島などヨーロッパ各地のミステリアスで見たこともない奇妙な伝統行事の様子が写されている。

日本の民族衣装を紹介した写真集「YOKAI NO SHIMA」

日本の伝統的な祭典や儀式をドキュメントした写真集「YOKAI NO SHIMA」。「謎めいた島の不思議な(妖怪と呼ばれる)魔物たち」という題目で名づけられた。

ナマハゲなどを撮影したシャルル・フレジェの民族衣装シリーズ続編版だ。鹿児島や青森などの地方で古くから習慣として催されているお祭りの民族衣装を、シャルル・フレジェらしい感性でダイナミックな自然を背景に撮影されている。日本の人類学的に見ても非常に興味深い作品集である。

謎めいた諸島の国、日本。日本中の山々や、海深くの底、古代の神社には古くから眠りについている霊やモンスターたちが多数点在している。

(「YOKAI NO SHIMA 」を紹介した記事、It’s Nice That より)

 

また、フレジェ自身フランス人ということもあり、日本の伝統文化を新たな角度でとらえた、興味深い視点も見どころのひとつ。いったいどこで、このようなお祭りの催し情報を得たのか個人的にも気になってしまう。

シャルル・フレジェ:日本は協調性があり、制服文化が盛んな国だと思っていたから、すごく興味を持っていて是非とも撮影してみたかった。

(Viceより)

シャルル・フレジェが魅了するもの

シャルル・フレジェの作風は、Dazed&Confused や、Another のような若い年齢層向けのファッションやアート誌系の雰囲気がある一方で、まるでナショナル・ジオグラフィックのようなドキュメンタリーの要素も含まれている。

アイウェアデザインThe MYKITA + Maison Martin Margielaとのコラボレーションで紹介された、シャルル・フレジェのインタビュー記事では、フレジェ自身次のように答えている。

シャルル・フレジェ: 僕のプロジェクトは、それぞれとても実験的。僕は、伝統的な民族衣装やコスチューム、ユニフォームに興味がある。ファッションカルチャーシーンとどことなく繋がりがあるように感じるんだ。

異なる環境で、古くから何度もすでに繰り返され成り立つ文化は素晴らしいと思う。僕は、詩的な話題が大好きなんだ。僕の作品に頻繁に登場してくる共同的なアイデアにも惹かれるものがあるなぁ。

不思議な衣装に興味があるようになったのは、2004年から2008年にかけて撮った、ヨーロッパ共和国の王室護衛隊のポートレートがきっかけだった。見たこともない兵隊たちの衣装に衝撃を受けたんだ。ダチョウの羽根飾りがついた帽子や熊毛のキャップ、虎の皮を使ってできたユニフォームの素材に特に魅力を受けた。フォーマルな王室ユニフォームに狂暴で野蛮な原始性が本質的に入った要素が気に入ったんだ。身にまとうもので他を威圧し、恐怖を支配する目的が動物の本質を本能的に語っていると思う。

(mykita.comより)

集団の力と個性

シャルル・フレジェ:僕の奇妙なポートレートシリーズの始まりは、世界各地を旅する最中、毛皮をかぶったケダモノのような変わったグループにたくさん出会ったことだった。 個人的に、人間が集団に属する社会的存在であることに非常に興味を持っている。それはまず、共同体がないと存在しえないからね。個性とは、グループの存在があるからこそ、その性質を補強することができると思う。 僕のポートレートは、矛盾した2つの理論の研究なんだ。個性と集団的アイデンティティの中間を不思議なキャラクターを通して表現している。

(mykita.comより)

仮装衣装を写した異色のポートレート写真が、コンテンポラリーアート界とモードにインパクトを与える。

 

Charles Fréger (シャルル・フレジェ)

1975年フランス生まれ。写真家。

http://www.charlesfreger.com

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