画家・イラストレーター・フォトグラファー・美容師という異色の4人で結成された「コペルズ」。メンバーのうち2人はNY、2人は東京に拠点を置きながら、「子ども達の為に」というコンセプトを掲げて活動するアーティスト集団だ。

インタビューの前編では、メンバーにお互いの印象や強み、共に活動することで生まれる化学反応などについて話して貰い、4人の関係性に焦点を当てた。

前編はこちら

後編では、NYに拠点を置く美容師・Kotaroさんに個別インタビューを行い、「コペルズ」のこれまでの活動の詳細や、自身のNYでの経験について話を聴いた。また、今後の「コペルズ」の未来について、改めてメンバー4人に話し合って貰った。

NYでの初エキシビション

NYでの初エキシビション「Plastic Whale」の様子

―これまでの「コペルズ」の活動について詳しく伺います。昨年9月に、NYでエキシビション「Plastic Whale」を開催されていましたね。内容や、開催までの経緯を教えてください。

Kotaro:この時は環境問題にフォーカスして、なかでも、プラスチックゴミ問題をピックアップしました。その時期よく、世界各地でクジラの死体が打ち上がっているというニュースを目にしたんです。その体内から大量のプラスチックごみが出てくる、というのに衝撃を受けて。みんながこの問題について考えて、行動するきっかけを作りたいなと思った。そこで、僕のサロン兼スタジオがある、ブルックリンのブッシュウィックでゴミを集めて、クジラを作りました。

―初めてのイベント開催だったと思うのですが、苦労したことなどはありましたか?

Kotaro:最後まで、テーマなどで悩みましたね。実際に作品を作り始めてからも、シルエットをどうするか、とかも含め、結構苦労しました。3〜4日で一気に作ったんです。

―エキシビションを通して、どのような事を感じましたか?

Kotaro:一発目だったんですが、「Bushwick Open Studios」というアートイベントの期間に合わせて開催した事もあり、2日間で合計100人を超える人に来て貰えました。オープンなアートイベントだったので、いろんな人がいたし、新しい出会いがあったのが嬉しかったです。でもその反面、「コペルス」というグループとしての活動やメッセージを、あまり上手く発信できなかったかなぁ、という反省がありました。なので、次に何かをする時は、もっと多くの人に自分たちの事を伝えたい!という気持ちになりましたね。

 東京でのワークショップでの気づき

東京でのワークショップ「みらいきっぷをつくろう」の様子

―今年1月に東京で開催した、ワークショップについて教えてください。

Kotaro:2回目のイベントでは、子ども達と一緒に何かしたいと思って、「CHOOSE LIFE みらいきっぷをつくろう」というワークショップを開きました。メインのアクティビティでは、次の時代の新しい元号を考えて、それが行き先として描かれた切符を作って貰ったんです。単に元号名のアイデアを出すだけではなくて、どんな未来に行きたいのかを考えて貰う時間になればと思って。目的地や未来は、自分たちで決めれる・決めていいんだという気持ちをみんなで共有したい、という想いで開催しました。

―1回目のイベントとの違いなどは、何かありましたか?

Kotaro:今回は、自分たちでもプロモーションを頑張って、友達に声をかけたり、身近な所から活動を広めていくようにしました。その結果、前回と違った点はやっぱり、「コペルズ」のコンセプトや活動そのものに興味を持って来てくれたお客さんも多かった事ですかね。親子で楽しんでくれた人が沢山いたのも嬉しかったです。

―2回目のワークショップでは、どのような事は感じましたか?

Kotaro:子ども達から気づかされる事が沢山ありました。切符を作る時、子ども達はもう、どんどん描くんですよね。僕たちは、元号を考えてみようって言ったらまぁ、一つくらいだと勝手に思っていたんですけど、子どもは思いついたら、何枚でも描くんですよ。そういうのは、本当に面白かった。すごく自由だなって。あとは大人の人でも、未来への想いを込めた漢字を使った元号などを考えていて、興味深かったですね。

―参加者の人たちとの交流を通して、新しい発見が多くあったんですね。

Kotaro:そうですね。あと新しい発見といえば、切符のアクティビティの他に、シルクスクリーンプリントの体験もやっていたんです。これが予想以上に好評で。「コペルズ」のロゴを、自分の好きなものにプリントして貰ったんですよ。単純な事なんですが、自分でものを作る楽しさを分かって貰う事で、ものを大切にする事を伝えられたらなって思いましたね。

―今後の「コペルズ」の活動に関するヒントは何かありましたか?

Kotaro:さっき(前編で)も少し話したように、僕らは、自分の気づきから実際に行動を起こしていく、“コペルくん”の集合体でありたいな、と思っているんですね。今回感じたのは、僕らの活動を通して、そんな“コペルくん”をどんどん増やしていけたらなって。僕たち4人だけじゃなく、参加した全員で何かに気づいて、「コペルズ」の一員として日々、みんなが行動していけたら素敵だなと思いました。あとは、好評だったシルクスクリーンプリントの体験活動に関して、これは比較的簡単に準備できるので、今後のイベントなどでも続けていきたいですね。

 美容師として、「コペルズ」の一員として、NYで思うこと

エキシビションの会場は、ブルックリンにあるKotaroさんのサロン「Step Bone Cut」だった

―Kotaroさんは普段、NY・ブルックリンのヘアサロンのマネージャーとして活躍されています。ご自身のNYでの活動を通して、感じている事はありますか?

Kotaro:まずは純粋に、こちらの方が、人としておもしろい人が多いなぁと感じますね(笑)。やっぱりみんな、こちらで違う文化や価値観とぶつかって、“自分って日本人なんだな“と、アイデンティティを実感した人も多いと思うんです。だからこそ、一個人として何かしなくちゃって、闘っている人ばっかりなのかなと。その結果、人としての深みがある人が多い気がするんです。こちらでの経験の一番の財産は、そういう、いろんな人に出会えた事だと思います。

―逆に、難しい・大変だと感じている事はありますか?

Kotaro:何だろうなぁ…。やっぱり、一番は言葉の壁ですかね。あ、あとは、こちらは本当に医療費が異常なので、病気になれない(笑)!体調管理も大変です。でも、海外での活動という意味では、壁はそれくらいじゃないかな?だからみんな、自分のやりたい事をやる場所として、日本や海外の、どこがより合っているのかを考えて、選べばいいんだと思います。僕は、仕事だったからNYへ来たけれど(笑)。来てよかったなって思いますね。

―Kotaroさんや「コペルズ」の活動を見ていると、実際に“アクションを起こす力”がすごいなと感じました。想いやアイデアを形にするために、大切な事は何だと思いますか?

Kotaro:僕の場合はですが、1人じゃ出来なかったかなぁ。「コペルズ」は、このメンバーに出会えたからこそ、できたのかなって。ただ、そういった出会いが生まれるよう、自分から行動するのは、やっぱり大事かもしれませんね。例えば、僕が「コペルズ」のみんなと出会うまでに、何か勇気を出して行動した瞬間があったとしたら、最初の一歩だったと思います。せいじさんと出会った時に、この人とご飯に行こう、もっと話そう、繋がろう、としたこと。

―なるほど。出会いやその後のアクションに繋がる、最初の一歩を踏み出す事ですね。

Kotaro:そうですね。どこかで何か、一つ超えられたら、その先は意外とポンポン進むんじゃないかなと思います。新しい何かや誰かと出会うのは、最初しんどいのは分かるけど、それを超える楽しさを知れば、できるようになるんじゃないかな。個人的には、自分には人と人とを繋げる役割があると思っているので、面白そうな人とは積極的に話すようにしていますね。

―ご自身のこれまでの経験などを踏まえ、アーティストを目指している人に向けたメッセージをお願いします。

Kotaro:自分が美容師として思う事は、これからの時代は誰でも“自分にしか出来ない何か”を持っていなきゃいけない、という事。と言うのも、技術だけでは、どんどんロボットなどに取って代わられてしまうと思うからです。なので逆に言うと、手に職があって、自分だけの表現を持っている人、アーティストさんがすごく活躍できる時代だと思う。いま活動している中で、それは本当に、肌で感じていることです。アーティストとしてチャレンジするなら、今だと思います!

コペルズ」の今後について

一緒に楽しむことで、“コペルくん”が増えていく。

―改めて、4人全員に伺います。今後、「コペルズ」としてどのように活動をしていきたいですか?

Kotaro:一番大事にしたいのは、“続けること”かなぁ。やっぱりお互いに忙しいし、距離も離れているから、次々にイベントを開くのは難しいんですけど。東京でのワークショップが終わった後も、みんなで「ずっと続けていきたいね」という話はしました。次の企画はまだ、具体的には決まっていないんですが、今はお互い、自分が「コペルズ」のために何ができるかを考えている時期だと思いますね。

Seiji:続ける事と、僕としては、参加してくれる人だけじゃなくて、僕ら自身も楽しみながらやりたいなと思いますね。僕らが子ども以上に楽しみたいなと。それを見て、さらにみんなが楽しんでくれたり、何かを感じ取ってくれたり、そういう部分もあると思うので。

Toyohiro:次回のイベントでは、これまで2回の経験を通して、「子ども達の為に」という活動における着地点を何か一つ、見つける機会にしたいと思っています。続ける事も、もちろん。僕たちがやっている事って、例えば、お祭りみたいに、僕らから子どもたちへ、さらにその子どもたちへって、100年後に継承されていく可能性もあると思うんです。だから、せいじさんも言ったように、楽しみを共有し合っていけたらなって思いますね。

Masaya:みんなが色々と言ってくれましたけど、あと僕は、自分たちが偉そうに何かを教えていくスタンスではなく、僕らも勉強しながらやっていく、というのも大切にしたいです。企画してイベントをやりながらも、実際は、僕らが教えられる事の方が多かったりするんですよね。「コペルズ」として得たものを、他の人にも伝えていきながら、自分たちもまた学んでいく、というような、みんなとのギブ・アンド・テイクを繰り返していくことじゃないかな、と思います。

Kotaro:確かに。

Masaya:あと、東京でのワークショップの後に、普段の個人での活動も全部「コペルズ」の活動の一環だ、っていう気持ちが出てきて。自分のやる事全てが繋がってくるんだなって感じたんです。なので、この4人でやっている「コペルズ」の活動が、自分の生活や制作活動にも潤いを与えてくれていると思います。

Toyohiro:今のいい話やったすね(笑)

Kotaro:ちょっといい話過ぎたなぁ(笑)

―次のイベントは、まだ決定していないという事でしたが、何かプランなどはありますか?

Toyohiro:今のところ、次は日本で、5 月5日の「子どもの日」を見据えているんです。

Kotaro:そうなんです。次は、前回の東京のワークショップの時にみんなで作った切符を使って、何かやりたいね、という話をしていて。今まさにミーティングを進めています。毎回のイベントに何か繋がりを持たせて、どんどん続けていけたら最高だなぁと思いますね。

 

今回のインタビューを通して感じた「コペルズ」の最大の魅力は、“すごくいい”空気感が漂うチームであること。4人と出会ったら、誰もがもきっと「コペルくん」の一人として、気づき、行動を起こしたくなると思う。お互いに尊敬し合い、個性と強みを活かして活動している、素敵な関係性が伝わってくるからだ。

クリエイティビティを発揮して表現を生み出すだけでなく、周りを巻き込んだムーブメントを起こしていく。それが4人のアーティストが集まって生まれる「コペルズ」の活動の核ではないだろうか。今後、どんどん広がる「コペルズ」の輪が、世界に向けてどのようなアクションを起こしていくのか注目したい。


【「コペルズ」公式】

HP:https://www.coperus-kids.com

https://www.instagram.com/coperus_kids/

【メンバープロフィール】

MASAYA NAKAYA / Painter:大阪芸術大学卒業。教員として教育の現場を学んだ後、2012年に渡米。子どもをモチーフに、現代に生きる私たちが本当に大切にすべきものを問う作品を多数発表。アートを通じた教育面での活動も精力的に行っている。現在はNYのブルックリンを拠点とし、国内外のギャラリーや美術館等で活躍する注目の現代美術作家。

http://www.masayanakayama.com/

SEIJI MATSUMOTO / Illustrator:イラストレーター兼アーティスト。主に人や動物をモチーフとした優しさとゆるさが溢れるスタイル。その作品には、めまぐるしく変化する日常や社会において人々の心を和ませたいという思いが込められている。 これまでに、「The New York Times」や「McDonald’s」など国内外の様々なアートを手がけている。

http://seijimatsumoto.com/

TOYOHIRO MATSUSHIMA / Photographer:携帯電話で撮った写真で受賞し、自分だけの職業『photo creator』として独学でキャリアをスタートさせる。Michael Jackson、Madonnaが奪い合ったダンサー・KENTO MORIから絶賛されるなど、国内外で数多くのアーティストから指名を受けている。

https://s2toyou.tumblr.com/

KOTARO / Hair stylist:2010年に神戸の美容室「TICK-TOCK」に就職。当時最速でスタイリストデビューし、独自のレッスンや集客法でアシスタント時代から多くの顧客を持ち、業界紙でも取り上げられる。24歳で最年少「STEP BONE CUT」認定講師。2016年からNYへ移り「STEP BONE CUT」を拡げるための講師活動をスタートさせる。同時に撮影、イベント開催、ギャラリー、シェアハウス運営など活動は多岐にわたる。

https://www.stepbonecut.com/

Total
21
Shares
People

F-MAGAZINEは、世代をリードするクリエイターやアーティスト達を紹介しています。



VIEW ALL >