「実は、今超元気ないんですよ(笑)」ラッパー・あっこゴリラが、それでも作品や活動を通してメッセージを発信し続ける理由とは。

ソニーミュージックからメジャー再デビューを果たしたラッパー、あっこゴリラ。ファーストアルバム『GRRRLISM(ガーリズム)』をはじめ、メッセージ性の強い音楽が女性をはじめとする多くの年齢層に注目されている。今回は、ストレートな自己表現を続けるラッパーとしての活動の真意と、普段は見せることのない「弱った自分」との葛藤、そして数少ない女性ラッパーとしてこれからの自分のあるべき姿について話しを伺った。

ラッパーあっこゴリラの誕生

−幼い頃はピアノを習っていたのでしたよね?

そうですね。小1から高3までピアノを習っていました。両親がよく音楽を聴いていたのでその影響で始めましたね。お父さんが60年代ロックでお母さんがマライアキャリーとかをよく聴いていたのを覚えています。

−当時から音楽に夢中だったんですね。その時からアーティストを目指してたんですか?

本格的に音楽に夢中になったのは高校生の時でした。当時はナンバーガールが好きでしたね。でもその時は、アーティストになってデビューしたいなんて1ミリも思っていなかった。ただ何者かになりたいっていう漠然としたやる気だけはありました。

−ラッパー「あっこゴリラ」になる前に、活動されていたガールズバンド「HAPPY BIRTHDAY」の時には、ドラマーとして活動されていたと思いますが、ドラムはどのようなきっかけで?

きっかけは、小学校の音楽室にドラムセットあったのでそれ叩いていたのが最初でした。本格的に始めたのは高校生の時で、友達がバンドを始めて誰もドラムをやりたがらないから「やってくんない?」って言われて、そこで初めて「じゃあ、やる」みたいな感じで本格的に始めました。

−バンドが解散後、なぜドラマーからラッパーというジャンルを選んだのでしょうか?

ノリと衝動だけで始めていました。正直ラップも全然聴いたりしてなかったし(笑)。ただ世代として「RIP SLYME」とかJ-POPの中にHIP HOPの要素があった世代だったので、ラップをやる事にも抵抗はなかったです。

ラッパーになってから、HIP HOPに出逢って救われたっていう特殊な例だと思います。

偽りのない自己表現

−ファーストアルバムの『GRRRLISM(ガーリズム)」や、コンプレックスからの解放をテーマにした曲『エビバディ BO』など、あっこゴリラさんの作品はダイレクトなメッセージが感じ取れます。

例えば、多くの女の子は「目が大きくないと」「痩せていないと」「小顔にならないと」って、世の中で正解とされている「可愛い女の子」の像に向かって必死じゃないですか。あたしにもそういう時期があって、一重だったので、毎日一生懸命二重にしていました。そのせいで生きているだけで疲れたり、傷ついている子が、自分も含めてたくさんいると思います。

『GRRRLISM』に関しては、世間で正解とされるものだけが真実じゃないことをダイレクトに発信してます。今と高校時代では自分の価値観が大きく変わったので発信できるメッセージでもあります。

以前Instagram で 脇を緑に染めていた写真を投稿していましたよね。それも何かメッセージがあったのかなと思ったのですが反響などはありましたか?

賛否両論的な感じですかね。フェミニズムに興味関心がある子達からは賛同を得て、一部の人からは「どうしちゃったの」みたいに言われました。でも渡辺直美さんが取り上げてくれたりして、伝わる人には伝わってるんだと感じました。

−そういった自身の考えやメッセージを発信するときに何か気をつけていることはありますか?

気を付けている事は嘘をつかないこと。これって今の日本では難しいことでもあると思っていて、仕事だと思ってやっていたことが結局嘘に繋がってしまうこともある。そうすると信用が壊れるから常に意識を持って気を付けています。

−SNSで自身の考えを率直に発信していることも、自分の大事な活動の一つとして捉えているということでしょうか?

SNSではファンの子達にそういった発信を期待されている部分もあると思います。ただ、ダイレクトにコミュニケーションを取る事が多いので、自分のマイナスな部分を出す勇気がなくて絶対に表に出して来なかったんです。でも実は、今超元気ないんですよ(笑)

元々小、中学校でバスケ部だったからスポーツマンの根性論みたいなところがあって、どんなにコンディションが悪くても自分を元気付けながらSNS で発信し続けてたんですけど、それを続けていたら疲弊してしまって…

もちろんやりたくてやってるんですが、単純にやりすぎてキャパオーバーしました(笑) 一旦休憩!パワー充電したい!って感じです。

−気持ちの波は誰にでもありますよね。今まで落ち込んだ時はずっと周りに気づかれないように振舞っていたんですか?

自分では隠してるつもりだけど、周りが気づいたりする時はあります。でもこれからは自分の弱みも発信することで、みんなも自分自身も元気にできればいいなと思ってます。

−逆に今この状態で曲を作ろうとは思いませんか?例えばフリースタイルなんか…

今フリースタイルなんかしたら最悪なことになると思う。いや、逆に爆発力になる可能性もあるかも(笑)

でも、こういった取材よりは曲作りの方がいいかもしれない。この記事も読んでくれた方には「あっこゴリラでも元気ない時あるんだな」って思ってもらえたら嬉しいです。

−今語れるテンションでじゃないかもしれないですけど、あっこゴリラさんは今後ラッパーとしてどうなりたいですか?

うわー嫌だ(笑)。でも今こんな状態だからこその思いなんですけど、負の感情とか調子の悪さも作品に落とし込んで、みんなでシンガロングできる歌を作れるようになりたいです。

例えば、映画『グレイテスト・ショーマン』の『This is me 』って曲は、まさにマイノリティの悲しみを表した曲だけど、それでも聞く人が勇気をもらえる曲だからすごく好きでなんです。私のライブは「喜怒哀楽」で表すと「喜」と「怒」がほとんどで、いままで常にバリアを張って鎧を背負って生きてきたので、もっと自分をさらけ出してダイレクトにシンガロングできるラッパーになりたいですね。そうなれたらやっと一人前のラッパーになれる気がします。

あっこゴリラ(ラッパー)

ドラマーとしてメジャーデビューを果たし、バンド解散後、ラッパーに転身。スキル・コネ・お客ゼロから下積みを重ね、2017年には、日本初のフィメール(女性)のみのMCバトル「CINDERELLA MCBATTLE」で優勝。その後、さまざまなアーティストとのコラボレーションも行う中、同年末、向井太一とのコラボ曲「ゲリラ」がSpotifyのCMに起用される。野生のゴリラに会いにルワンダへと旅をした模様を収めた「Bact to the Jungle」、永原真夏と共にベトナムで撮影された「ウルトラジェンダー」、そして2018年に”再”メジャーデビューを飾り、台湾で撮影を敢行した「余裕」など、国内に限らず海外で制作したMVも話題に。さらに、同年12月満を持しての1stフルアルバム「GRRRLISM」をリリース。女性の無駄毛をテーマにした「エビバディBO」、年齢をテーマにした「グランマ」など、世の中の”女性(もとい男性)はこうあるべき”という固定概念に焦点をあてた楽曲を発表。その他、クリエイターを巻き込んでのZINEの制作や、トークショーの開催など、”自分らしくあろう”というメッセージの下、”GRRRLISM”(Riot grrrlからオマージュ)を伝える活動を行っている。

HP:http://akkogorilla.yellow-artists.jp/

 

【information】

3月26日に、渋谷クラブクアトロにて”GRRRLISM RELEASE TOUR FINAL”を開催予定。

3月26日(火)渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 18:30 / START 19:30

ライブの詳細、チケットの購入はこちらか:http://akkogorilla.yellow-artists.jp/live/001417.php

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