「アントワープ6人」で有名になったベルギーのファッションデザイナーのドリス・ヴァン・ノッテン。彼は先月東京の原美術館で3日間の企画展「INTERPRETATIONS, TOKYOー17世紀絵画が誘う現代の表現」を開催した。ドリス・ヴァン・ノッテン彼自身がこの企画で最終選考した日本人の若手アーティスト3人とはいったい誰なのだろうか。ご紹介したい。

ドリス・ヴァン・ノッテンが企画展を開催

ドリス・ヴァン・ノッテン

「アントワープ6人」の一人もあるドリス・ヴァン・ノッテン。様々なテイストと時代を融合させて提案するシンプルなコンテンポラリースタイルが日本でも人気のデザイナー。商品に一点一点名前をつけたり、自宅であるアントワープ郊外の豪邸の庭師としての趣味がある事など、ユニークなキャラクターがあることでも知られている。

先月ドリス・ヴァン・ノッテン青山店10周年を記念して、東京の原美術館で3日間の企画展「INTERPRETATIONS, TOKYOー17世紀絵画が誘う現代の表現」が開催された。この企画展では、17世紀のヨーロッパ美術の巨匠、エラルート・デ・ ライレッセによる2枚の絵画、そしてパリ出身の抽象画家Yumi Domoto(堂本右美)と写真家、映画監督して活躍する蜷川実花がライレッセの作品に独自の解釈を与えた作品を合わせて展示した。

また、今回の原美術館の企画展では、同じくエラルート・デ・ ライレッセの作品を再解釈した作品も募集され、ドリス・ヴァン・ノッテン自身が3人の若手日本人アーティストを最終選考している。選ばれたのは、安野谷昌穂(あのたに・まさほ)、石井七歩、佐藤允(さとう あたる)の3人。どういう人物なのか続けてご紹介したい。

安野谷昌穂(あのたに・まさほ)

1991年、兵庫県生まれ。京都精華⼤学でデザインを学び、オランダのヘリット・リートフェルト・アカデミーで現代美術を学んだ。現在は東京を拠点に制作活動、国内外で精力的に活動中。

新進気鋭の若手画家として、2016年にはニューヨーク発ファッションブランド「マーク ジェイコブス」が手掛けるブックストアBOOKMARC(ブックマーク)にて個展を開催。ライブドローイングなど、勢力的活動を行っている。

葉 ひらり
森が開けて私の前に
知った小道 しらない景色
ゆらめく あたらしいゴミ
さすらいの呪文は 軽々めぐる

安野谷昌穂(あのたに・まさほ)

彼の作品はパステルな色使いが特徴で、彼の疑問や直感、観察などを衝動的なドローイング、またはスプレーペインティングなどで表現している。また、彼の作品のグラフィックと色使いには独特な素材感覚があり、テキスタイルデザインとしてZUCCaやコムデギャルソンなど、有名ファッションブランドともコラボレーションを行っている。

石井七歩

連続したブロック型のビルが繰り返し描かれているドローイングの中から登場する巨大な生物。都会的な街と生き物の関係性、その中から生まれる想像力などをテーマに作品を制作している。

1991年、東京生まれ。都立芸術高等学校3年次中退。多摩美術大学1年次中退。

2010年、村上隆氏のギャラリー”Hidarizingaro“にて開催のグループ展へ参加。

2011年、堂島リバービエンナーレ2011 ″ECOSOPHIA—アートと建築—”(堂島リバーフォーラム)に参加。

2012年、青森県立美術館にて美術館デビュー。

そこにあるもの、見えているものについて考えるのは簡単だ。ではそこに(いないもの)を想像することは?

例えば、その絵に描かれているものについて考えることは簡単だ。誰かが発話した言葉について考えることも。しかしその絵に描かれていないもの、誰かが言葉にしないでいるものについて思慮を巡らせることはかなり難しい。

私はそこに(いない)ものを感知するのもひとつの想像力だと思う。

自分は何に気付いていないのか。

自分は何がみえていないのか。

自分は何を知っていないのか。 

(いない)ものを感知することは大変難しい。

自分には見えて(いない)ものを存在しないものとして処理する人々のことを、私は想像力が劣化していると感じる。

(Naho Ishiiのブログより)

佐藤允(さとう あたる)

1986年、千葉県生まれ。京都造形大学芸術学部情報デザイン学科先端アートコースを卒業。ニューヨークや東京のギャラリーで展示会を行い、グループ展として「第8回光州ビエンナーレ」(2010)、「ヨコハマトリエンナーレ 2011: OUR MAGIC HOUR-世界はどこまで知る ことができるか?-」(2011)、「Inside」(パレ・ド・トーキョー、2014)などに参加している。

作品は高橋コレクション、ルイ・ヴィトン・マルティエにパブリックコレクションとして収蔵されている。

高校生の時までは何も絵を描いていなくて、もともと描いていたんですけど、人に見せたら嫌がるような、気持ち悪いっていわれるような絵で、実際描いてはいたけど人に見せないでいたんですけど、高校生の時にある先輩が僕の絵をほしがってくれて、その先輩のために描くことがどんどん楽しくなっていって…

佐藤允(Gadaboutインタビュー記事より)

同じクリエイターとして共通する何かがあるファッションデザイナーとコンテンポラリー・アーティスト。若い才能はファッションデザイナーに新たな影響を与える。現代アーティストが、有名ファッションブランドとコラボレーションする方向性は今後更に続きそうだ。