オーストリア出身で現在東京在住中の写真家Sybilla Patrizia(シビラ・パトリツィア)。桜の開花に魅了された人々をポートレートにした写真集「Story of Glory」が雑誌AnOtherでも今回話題になっている。 シビラが東京生活を通して世界へ伝えるメッセージとは一体何か。新鮮なヴィジュアル感覚と新しい価値観を生み出す、写真家シビラ・パトリツィアの世界観を特集したい。

東京生活をオーストリア人写真家が写す

現在東京で生活をしている写真家シビラ・パトリツィア。圧倒されるような数多くの住民が共同生活を共に営んで生活している大都市東京。以外だが東京は、他ではビックリされてしまうような「当たり前」や「常識」を大多数の住民が共有して暮らしている、いわゆる「近未来都市」である。人類学的に見て東京は、都市文化の急速的な発達で生活ルールや人々の常識も自然に変わるという興味深い調査結果が明確に解明され、世界的に資本主義発展途上都市のおもしろい結果の例とされている。

オーストリアという生まれ育った環境が全く異なる彼女にとって、東京の生活は非常に刺激的で異風だったようだ。写真家シビラ・パトリツィアの鋭い異文化への探求は今回写真集にもなって登場した。

「桜に喜ぶ人たち」のポートレート集

オーストリア出身の写真家シビラ・パトリツィアが捉える「日本の桜の季節」とは一体どういうものなのだろうか。

日本のお花見スポットとして有名な新宿御苑などで撮影された、桜の開花を喜んで催される花見風景の様子、開花した桜の前で嬉しそうに写真を撮る人たちの様子などがシリーズとしてまとめられた写真集「Story of Glory」が話題となっている。

日本人の感覚とは違った視点から捉えられた花見文化。日本の伝統的な文化である「お花見」は、はかなく詩的な伝統行事として、古くから私たち日本人に愛されてきた。また、よく考えてみると「お花見」は、別の角度から見て少し変わった社会現象でもあることにも気づかされる。

-写真集「Story of Glory」

シビラ・パトリツィアのプロジェクト。2017年から出版されている。オーストリア出身の彼女が、日本の桜文化の魅力から伝わった、共通の美意識やワクワクするような興奮する感覚を独特のフィルターを通して写真に残した。イギリスの美術評論家Karoly Tendl(カロリー・テンドル)によって執筆されたテキストも一緒に掲載されてある。

かつて、私は東京に来て、桜の開花が始まったばかりのころに、日本を去らなければならなかった時のことをよく覚えている。満開の花を実際には見られなかったにもかかわらず、すでにワクワクした雰囲気に満ちているのを感じた。何百万人もの人々がその雰囲気に酔い知れ、私のような「ガイジン」でも、今まで経験したことのない陶酔感が理解でき、もっと味わいたくなった。

数年後には、桜の力に完全に圧倒されつつ、花見が祝賀以上のものであることを理解し始めた。何百もスクリーンが目の前の花見の光景を写し出し、それが拡散することで、スクリーンを通して世界中の人々がこの社会現像に酔い知れることになる。

シビラ・パトリツィア(シビラ・パトリツィアHPより)

https://sybillapatrizia.com

彼女が見る「花見」という社会現象とは

シビラ・パトリツィアの言う「花見」の雰囲気に酔う感覚とその魅力とは一体何なのか。日本独特の社会現象でもある「花見」に対して雑誌AnOtherに語った彼女の意見を紹介したい。

「花見」と言う現象はかなりクレイジーだと思う。有名な花見スポットなどでは、市民警察までが出てきてバリアを引いたり周囲の混乱を整えるように一方通行の整備をしたりもする。

満開になった美しい桜の木の前は常に、人集りが耐えない。桜と共にセルフィー写真を撮る人たち、海外からウェディング写真を撮るために訪れている人たち、中にはプロの写真家が大がかりな機材を用いて満開の桜にクローズアップをして撮影したりしている。

満開になった桜という一つの短い瞬間の出来事が、人間が「行動する」というきっかけを強力に生み出している。現代社会において「経験する」という体験の重要性を深く考えさせられる。

シビラ・パトリツィア(AnOtherより)

ソーシャルメディアというフィルターを通して

このプロジェクトでシビラ・パトリツィアが伝えようとしたメッセージとは、ソーシャルメディアを通したセルフィー文化の威力である。

この「ステート·オブ·グローリー」という作品は、ただ単に日本の文化における花見の意義を示すだけではなく、自分自身や日常生活を美化するソーシャルメディアのフィルターを通して、自己イメージを讃え、自己に栄光を与える現代のセルフィーカルチャーの力も見せている。

シビラ・パトリツィア(シビラ・パトリツィアHPより)

満開に開いた桜の花の前では、一瞬の息を飲むような美しさをここぞとばかり写真に残そうと、思わず携帯やカメラのレンズを桜の花に向ける人が常に多くいる。そのおもしろい現象に興味を持った写真家シビラ・パトリツィア。ソーシャルメディアの多大な情報量に力が圧倒されてしまいそうになりそうな現代社会と自己イメージ作りに没頭するセルフィーカルチャー。若手アーティストでもあるシビラが桜の花見文化を通して伝えるメッセージとは「個人として経験する」という価値の重要さ。彼女の興味深い焦点に注目したい。

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