世界的に注目されている日本人アーティストの小松美羽。その可愛らしく端正な顔立ちとは裏腹に彼女が創り出す作品は壮大で独創的なもの。DIORとのコラボレーションも果たした彼女はいったいどんな人物なのだろうか。

独特の死生観を作品で表現

https://diversity-for-peace.com/artists/miwa-komatsu/

1984年に長野県に生まれ、子供の頃から自然や動物に触れ合いながら育った。そして生き物の生と死を身近に感じてきた彼女は、独特の死生感を構築されていったという。彼女の作り出す作品は故郷の長野県を題材にすることが多い。さらには神や神獣が多く登場し、その眼には何もかもを呑み込んでしまうような力強さと迫力を感じる。

「神獣は『目』がポイントです。一番マシマシに描いています(笑)。神獣の目は、人の肉体ではなく、魂を見るんですね。この目が、人の魂に悪いものが潜んでいたり、悪いものが入ってくると、発見して排除してくれます。絵は最終的には誰かのところに飾られるものですよね? 私が神獣の目を大きく描くのは、その場所を聖域として守るように、という想いが込められています」 Yahoo!ライフマガジンより
「誰しも龍となる」小松美羽 http://miwa-komatsu.jp

代表作と、それに伴う葛藤

『四十九日』小松美羽 https://ec.tagboat.com/eccube_jp/html/products/detail.php?product_id=10605

代表作とされる四十九日は彼女が大学の卒業制作として創ったもの。銅版画で描かれたこの作品について彼女はこのように解説している。

亡くなった者たちが必ず通る仏の道を描いた作品。
右上にあるのは上田の火葬場。
襲いかかる牛の形をした森の地獄に飲み込まれないように、
ラクダに乗った魂が仏になるために一直線に進んでいく。
自在山の森からのイメージ・坂城町で生涯を送った祖父の魂と
死に際からインスピレーションを受ける。
溶けた目は、死んだウサギのラビ。
死んでいく目は人もウサギも同じだった、、、。(小松美羽Facebookより)

幼少期から絵本に描かれている”線”に強く惹かれていたという小松美羽。女子美術大学時代に銅版画と出会ったことで、自分の求める線を見つけることができたという。近年では銅版画だけではなくアクリル画や有田焼など技術の幅を広げ活躍している。

しかし新たに作品を生み出しても周りから求められるのは「四十九日」ばかり。新しい作品を見てもらえないことに悩んでいたという。そして2012年頃に母校を訪れた際、意を決して「四十九日」の銅板を切断した。後戻りはできない、小松美羽の覚悟と芯の強さを感じる出来事だ。

DIORと小松美羽

https://madamefigaro.jp/blog/figaro-japon/190328-maison-christian-dior.html

 

今回、メゾン・クリスチャン・ディオールのアンバサダーとして選ばれた小松美羽。様々なモチーフの香水がある中、自らが選んだ「SAKURA」にちなんで、パリでライブペイントも行った。

 

メゾン・クリスチャン・ディオールの小松美羽へのインタビューでは、彼女はこのように答えている。

-メゾン・クリスチャン・ディオールのコレクションの中から、あなたはどうして「SAKURA」を選んだのですか。そして、日本の神話や伝統と密接な結びつきを持たせているのは作品への敬意ですか。そしてこの色彩の爆発にはどういった意味がありますか。

日本には「桜」に関する物語がたくさんあります。この木の開花は間違いなく、国内で最も人気で、最も愛されているイベントの一つです。今までにも私は、作品のテーマとして何度もこの木を選んできました。私は桜を描くたびに、単にそれを表現することよりもこの神聖な木の精神との深い繋がりを見つけることの方が重要だと感じます。それらの作品は祝いのイメージであり、敬意と感謝の証でもありました。その絵たちは毎回驚くほどの誠実な反応を引き起こしました。

-「 SAKURA」という香りを体現するためにあなたがパリで描いた作品はとても印象的でした。このように大きな形を選んだのはどうしてですか?そしてこの色彩の爆発にはどういった意味がありますか。

桜の木の枝とその精神が人生を祝って昇華し、自由に成長することを願い描きました。まるで、SAKURAの香りを吹きかけた時に人々が互いに結びつくかのように、香りは空間と運命を混ぜ合わせることができます。香りを具現化し、桜の木のエネルギーを同調させるためには大きなキャンバスに描くことが不可欠でした。桜は人々の祈りを全て集めてくれる為、私たちに春の雰囲気を感じさせてくれます。来年の4月に日本で桜が満開になるのと同時期にこの作品にピンク色の塗料をスプレーすればこの作品は文字通り実現すると思います。

今回メゾン・クリスチャン・ディオールのアンバサダーに選ばれ、これまで以上に注目が集まっている小松美羽。彼女が描く「生」や「死」の世界を是非感じて欲しい。