先日、アジアで初めてとなる同性婚の合法化を実現し、アジアで最もLGBTフレンドリーな都市として知られる、台北。 ゲイ、クィアカルチャーの中心地としても、盛り上がりを見せている台北のカルチャーシーン。 最近では、世界中からドラァグクイーンやパフォーマーが集まり、そのレベルの高さからも注目を集めているところだ。 華々しく変化を遂げる都市に今起こっている、新たなムーブメント、人々を魅了するカルチャーの秘密に迫る。 

アジア1のLGBTフレンドリー都市が誕生するまで 

台湾で同性婚が法的に認められたのは、2019年5月と、歴史的にはとても最近のことである。 セクシャルマイノリティーへの考え方や捉え方が、先進国である日本でさえもまだ閉ざされていると言われるアジアの中で、台湾が先駆けて実施したことは、待ち望んでいた人々にとって、大きな一歩であり、喜びであった。 台湾のLGBTシーンが盛り上がるきっかけとなったのは、1980年代以降のことだ。 当時の民主化運動にともない、LGBTの権利を求める運動が盛んとなっていったと同時に、表現や存在の自由を求め、ゲイカルチャーは発展していった。 台湾という国が持つ、宗教観や文化の多様性、人々の寛容性が大きいこともあり、アジアで最もLGBTフレンドリーと呼ばれる都市へ発展していった。 今では、アジア最大級となるLGBTプライドであるパレードが開催されておりその参加人数は年を追うごとに増加中だ。 ローカルの人々だけではなく、世界中から訪れる旅行者なども参加する大規模なものとなっており、ますますの注目を集めている。 

台北が世界に誇るカルチャーシーンを築いた、伝説のドラァグアーティスト  

欧米で生まれたドラァグカルチャーが台湾に入ってきてその活動が活発になったのは、90年代以降とされており、当時はアンダーグラウンドシーンでのみ、その全貌を見ることが出来た。 英語とマンダリン(中国語)、西洋とアジアがミックスされて出来上がった台湾のドラァグシーンは、既に大衆化しビジネス化された欧米のものとは違った、特有の個性あふれる魅力があることで、定評がある。 

ドラァグクイーンといえば、今ではNetflixの人気リアリティ番組「ル・ポールのドラァグ・レース」で一般にも広くその存在が知られるようになったが、以前はクィアと呼ばれるセクシャルマイノリティの人々のものであるというイメージが、どうしても強かった。  今ではアジアを代表するほど、世界に誇るカルチャーシーンを築いた台北のドラァグだが、そのムーヴメントの立役者となったのは、間違いなくMagnolia La Manga(マグノリア・ラ・マンガ)だ。 

彼女は1999年に台湾に移住して以来、現在もなおドラァグを続ける台湾で最も有名なドラァグアーティストである。 台湾の伝説的ナイトクラブでのパフォーマンスはもちろん、タイ・バンコクやベトナム・サイゴンの有名クラブ、東京のプライドバレードへも出演を果たしている経歴を持つ。 また、彼女が有名になるきっかけとなった一つに、台湾の有名シンガー Jolin Tsai(ジョリン・ツァイ)のミュージックビデオ「Play」への出演がある。 

台湾で国民的人気を誇るジョリンとの共演は、多くの人にドラァグアーティストの存在を印象づける良いきっかけとなった。 また、マグノリアはドラァグパフォーマンス以外にも、HIV関連団体への慈善活動を始め、動物愛護活動、国立台湾大学のLGBT協会と協力し、「What is Drag?(ドラァグって何)」と題した教育講演会を開催するなど、精力的に活動している。 

 アジアのミレ二アル世代を惹きつける、完璧でヒップな場所 

台北は長い時間をかけ、LGBTの権利取得の実現に加え、世界が注目する独自のカルチャーシーンが形成されたことで、最近ではアジアのミレニアル世代の間でヒップな場所として話題が沸騰中だ。 特にLGBT人口の多いタイ・バンコクの若者たちを中心に、台北はまさに憧れの都市であり、完璧なゴール地点として人気がある。 これに注目した台湾の観光局は、昨年、同じLGBTフレンドリーな都市として知られる台北とバンコクを結ぶために、タイで最も有名なドラァグアーティストのPangina Healsを観光大使に任命。大胆でユニーク、世界でも前例が無いものとして大きな話題を集めた。 この事は、ドラァグアーティストを始めクィアの人々にとっても、誇らしいこととなり、両国間のドラァグカルチャーをさらに盛り上げる大きな一つのきっかけとなった。 

アジアのLGBTシーンをリードする、台北が世界に誇るドラァグシーン。 自己表現、アート面のどれから見ても、レベルが高く、唯一無二の存在といえる。 文化的にも政治的にも発展を遂げる都市に見る、アジア最大のLGBTカルチャーシーンは、今後どのように日本のミレニアルズたちにも影響を与えていくのだろうか、注目していきたい。