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有名な1枚であるこの2ショットは、3年前に青山にOff-Whiteの直営店がオープンした際に来日したVirgil AblohとYOSHIである。当時のYOSHIは、オープニングパーティーに呼ばれるだけでもその注目度が窺えるが、それ以上にインダストリアルベルトを使った奇抜なスタイリングからセンスを見出され、Virgilとの2ショット、そしてInstagramに公開され世界中からの注目を買ったのだ。これを時の運と言ってしまうのは今となっては無粋なことである。

それからの両者の活躍はご存知の通り。Virgil AblohはLouis Vuitton初の黒人デザイナーとなり、毎度印象的なコレクションを披露するその話題性は、すでにファッションの域を超えている。YOSHIにしても菅田将暉、仲野太賀との共演作「タロウのバカ」で演技未経験ながら主演に抜擢され、今やメディアに引っ張りだこである。

名盤とされるには

ファッションアイコンとして、俳優として、そしてインフルエンサーとしてのYOSHIの才能を評価する記事はすでに世間に散見している。今回は音楽的側面にフォーカスして、彼の才能を掘り下げて見たいと思う。

近年のヒットする音楽の傾向としてRae SremmudやMigosが20曲以上が収録されたの膨大な曲数のアルバムをリリースし、「ながら聴き」を助長するように再生回数を稼いだり、Kanye Westが7曲というアルバムと呼べるのか疑問が残るような作品を連続で手掛け、楽曲単位での再生回数を増やす施策をとっている。また昨今の洋楽には一種リアリティーショー的な側面がある。その時々のアーティストの感情が生に反映されているため、スピード感が大事な現代の音楽の聴き方においては好まれやすい。アイドル的なイメージを築いて、少しお高い不可侵なアーティスト像を守ってきたAriana GrandeやTaylor Swiftに至っても、それぞれの最新作で直近の身の回りで起きたことに対しての感情を吐き出している。HIPHOP界でもいわゆるビーフに用いられたりする、一種の「売り方」であり、時代の流れによる音楽の「流行り」ともとれる。

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my album ’thank u, next’ is out now 🖤

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ここで後世に残る名盤の定義とは何かを考える。直感的に考えて、上記のような生活の切り売り的商法によって作られたアルバムがその年のグラミー賞を受賞する可能性は多分にありながら、後世に残っていくとはあまり考えられない。消費されるためにアーティストになる人などいるわけもない一方で、そうして一時日の目を浴びて消えていったアーティストが数多くいるのも現実だ。アーティストやレーベルの意向はそれぞれではあるが、目先のお金だけを目指していては作品も作り手も消費されて終わりである。

レコード、カセットテープ、MD、CDと音楽の聞き方は常に変化を遂げている。媒体それぞれに音質的特徴があり、収録曲数から曲の構成に至る制約が時代とともに緩和されてきた。そして今や我々はエディット的に音楽の聴き方を選べる時代にいる。テクノロジーの進化を芸術作品としての音楽はもろに影響を受けているのだ。それでも、長い年月をかけて形成されてきた10数曲というアルバム形態は、リスナーとしては聴きやすく、アーティストとしても語りすぎることなく感情を表現する手段として最も適しているのではないかと思う。リリースされたその日からクラシックとして世界中から認められ、いつまでも色褪せずその感動を絶やさず、人々を魅了し続ける名盤の定義は1つそこにあるのではないか。

YOSHIの「アーティスト」としての才能

クラシックであろうと、「売れる」音楽作りであろうと何れにせよアーティストの人生経験が大切になるのは間違いない。直近の出来事か過去の思い出か、何かしらの感情の起伏を詩に起こすことによって、リスナーから共感を得たり、アーティストをスターたらしめる作品が出来上がる。13歳のYOSHIにF-MAGAZINEがインタビューした際、影響を受けた人としてDavid Bowieの名をあげている。彼の近年のInstagramの投稿を見ても、2pacに追悼の意を表したり、Michael Jacksonの誕生日を祝ったり、The Weekndのライブに興奮した旨を伝えるなど幅広いジャンルをクラシックな作品から最新作まで、敬意を持って親しんでいることが窺える。弱冠16歳にしてこれだけの音楽を聴いて、カルチャーに親しんでいるその吸収力は称賛に値するが、人生経験をその分多く積んだことにはならない。

そして16歳の今、YOSHIは音楽デビューを果たした。デビューアルバムのタイトルは『SEX IS LIFE』。多分野において人々を魅了し続け、「16歳」というブランドをもった今の彼を前にしたとき、ヒットを狙った音楽人が目をつける思考回路は容易に想像できる。尖ったタイトルをもって、一過性の勢い任せで、若さが放つ青さと花を消費するどこかのK-Popアイドルの売り方と相違ない。と、穿った目で見てしまっては、彼の魅力には迫れない。というかYOSHIの生命力はそんなことで蝕まれてしまうほど乏しくない。

テレビやInstagram上でYOSHIを見たことがある人は何らかの感情が沸き起こったに違いない。それが怒りか喜びか分からないが、何れにせよ出会った人全てに関心を抱かせるだけの資質を彼は生まれながらに備えている。これが彼の持つスター性を物語っている。YOSHIが作詞に携わった『SEX IS LIFE』の1曲目「Continue」のラストバースはこうである、「それではまた次の世界で会いましょう」。我々が何度生まれ変わっても、どんな人種や価値観であろうと、次の人生でも彼の音楽や功績は燦然と輝き魅了される。そしてその時我々は「彼が生きた時代に生まれたかった」と言うに違いない。彼と同じ時代に生まれたこと、そして彼が成し遂げていく今後すべての功績を見届けられることに素直に感謝し、今作が名盤とされるその日まで活躍を追っていくことが良さそうだ。

その先駆けとして9月17日に公開されたばかりの最新MV「RIDING ON TIME」を見ていただきたい。作品としての完成度はもちろん、YOSHIの現在地の記録である。