境界線の美しき破壊。ヴォーグ誌も絶賛したPALOMO SPAIN(パロモ・スペイン)

1/30−2/2の4日間、ニューヨークでは”ニューヨークファッションウィーク・メンズ 2017年秋冬コレクション”が開催された。

近年ウィメンズと分かれて行われるメンズは年々規模が大きくなり、注目度が高まっている。

メンズ・コレクションの最終日に行われたPALOMO SPAIN(パロモ・スペイン)のショーが始まると、ゲスト、編集者、フォトグラファーなど来場者は息を呑んだ。

花の陰から姿を現したのは、妖精。

天空から降りてきた堕天使。

ドラッグクイーンやインディーズのキワモノ的なファッションとは、一線を画す美しさ。

PALOMO SPAINは、「美を基準」にファッションのジェンダー(性別)の境界線をふわりと乗り越えてしまった。

過去に数々のデザイナーが試みた「ジェンダーを意識した」ユニセックスやボーイッシュとは異なっている。

米ヴォーグ誌は、Palomo Spain: “The Most Amazing, Beautiful, Decadent, Evil Thing” at the New York Men’s Shows(NYFWメンズで、最も素晴らしく、美しく、退廃的で、邪悪なショー)と絶賛。

日本であれば、歌舞伎の女形が近いだろうか。

女性への形容詞であったはずの「美しさ」「愛らしさ」「可憐さ」「優しさ」が余すことなく表現されている。

惹かれてはいけない禁断の「秘密の花園」で、手招きをする妖精たち。

強烈な魅力に誰が抗えるだろう。

何故なら、PALOMO SPAINのコレクションは、「誘っている」「心を奪う」ためのドレスなのだから。

若干24歳のデザイナー、Alejandro Gomez Palomo氏。彼は、ヴオーグ誌のインタビューで下記のように語っている。

今まで男の子が着られなかったさまざまなファッションスタイルを発見する必要がある、と僕は感じているんだ。(意訳 青山沙羅)

I feel that boys need to discover different ways to wear clothes that we haven’t been able to wear up until now.

出典 vogue.com Meet the Spanish Label Putting a Fairy-Tale Spin on Menswear

ドレスの素材は、もともと女性服だったヴィンテージを再利用している。

温かみや、柔らかさを感じさせるのはそのためかもしれない。

実際にとてもフェミニンな男性の服を買うのはエロティックだよね。(意訳 青山沙羅)

It is erotic to be buying men’s clothes that are actually something really feminine.

出典 vogue.com Meet the Spanish Label Putting a Fairy-Tale Spin on Menswear

このドレスは誰が着るのだろう。誰を誘うために、袖を通すのだろうか。

僕は自分の求めるものを服に投影して、僕の世界へ連れて行きたいんだ。「違う次元へ行こう、もうちょっと着こなし方に想像力を使ってみようよ」というような。(意訳 青山沙羅)

I project what I desire and then I bring it to my own universe. Like ‘Let’s take it to a different level and fantasize a bit more in the way they dress’

出典 vogue.com Meet the Spanish Label Putting a Fairy-Tale Spin on Menswear

私たちは、彼の思惑通り、彼の宇宙へ迷い込んでしまった。

「美」は主観的なものであり、けれど絶対的なもの。

ジェンダーの境界線を、あっけないほど軽々と乗り越えたPALOMO SPAINの美意識。

今後のファッションウィークは、ウィメンズ、メンズと分ける必要さえないのかもしれない。

悔しいけれど、今後の彼から目を離せそうにない。

PALOMO SPAIN

All Photos by Hideyuki Tatebayashi
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