2月13日ニューヨーク・ファッションウィーク6日目は、真逆のテーマを持ったコレクションを見て、多面的なファッションの魅力に心酔した。

オルセン姉妹のThe Row(ザ・ロウ)は色や柄に一切頼らず至高のシプリシティで魅せ、逆にアートとの融合で複雑且つ難解なインスタレーションのショーを創り上げた3.1Phillip Lim(3.1フィリップ・リム)。クリエーションという意味では両者素晴らしいが、あなたはどちらに惹かれるだろうか?

また、類い稀なる才能を発揮し続けるRosie Assoulin(ロージー・アスリーヌ)は、手作業によるクラフトマンシップで“進歩”の奥義を提唱した。

 今年でブランド創設10年目を迎えるThe Row。

Tシャツのみでスタートしたファーストコレクションから現在に至るまで、素材にこだわった上質なラグジュアリーで安定感を見せる。

コレクションを構成したカラーは主にブラック、ホワイト、アイボリーといったモノクローム。

終盤で1ルックのみ登場した深いレッドは、静寂の中で存在感を放っていた。

エフォートレスから一転して、ストリートスタイルやスポンテニアスといった要素で主張の激しいトレンドのせいもあってか、今季のThe Rowは極めてシンプルな印象を受ける。

ロゴやプリントは皆無のアイテムたちだが、静かだからこそ魅惑的で心惹かれ、“物言わぬ強さ”のようなものを感じた。

序盤は素材とスタイル違いのクリームカラーのアウターたち。

ローブコートのようなパターンのアウターはウエストをベルトで縛り、肩から裾まで女性の体を沿うようなラインを出す。

オーバーサイズではないものの、リラックスした余裕のある雰囲気を醸し出す。

中盤以降に多く登場した、シワの一切ない真新しいクラシックやシャツは、テイラードされたスーツパンツ(もちろんここにもシワは一切ない)、ウールのロングスカート、ブラックデニムといったボトムスが合わせられた。

同じブラックでも光沢のある上質なファー、ウール、シルクなどを用いて、素材そのものが持つ魅力を引き出しているようだ。

足元はレースアップブーツで全ルック統一。

noカラー、noプリント、noトレンド。特筆すべきものは何もないかもしれない。

何もないが、そこには洋服の全てがある。オルセン姉妹のエレガンスの美学はますます研磨され、無二の存在感を示している。

2013年にブランドを立ち上げるやいなや、ニューヨーク期待の新星デザイナーとして才能を高く評価されたRosie Assoulin。

ドレープ、フリル、リボンなどフェミニンな手法で、洗練されたモダンな女性像を描く。

知的ではあるが控え目で、エレガントではあるが快適。今季はそこにクラフトマンシップという強力な味方をつけて、ディテールまで非の打ち所のないコレクションに仕上げた。

ファーストルックは大きなフリルが両袖についたヴィクトリア調のトップスに、様々なデザインのフラワーキルトをつなぎ合わせて形成されたクロップドのワイドパンツ。

ハイウエスト部分がコルセットになったセットアップのパンツや、全体に刺繍が施されたオリエンタルな雰囲気のあるロングドレスなど、クラシカルなニュアンスだ。

今季がデビューとなるシューズラインも、40年代頃のアンティークな靴のフォルムをベースに、渦を巻いたヒールやかかとのないスリッパ風にデザインし、クラシカルとモダンを融合させた。

プレゼンテーション形式で発表された会場では、職人がハンドメイドでピアスを製作していた。

「技術を過去に残したまま、未来へ進むことはできない」と語り、ハンドメイドの重要性をコレクションで多いに表現した。

 アートとファッションが相性の良い仲間であることは、すでに周知の事実。

今季3.1 Phillip Limは現代アーティストJames Turrell(ジェームズ・タレル)とのコラボレーションで光と空間を題材としたコレクションを発表した。

航空機の防風ガラスに使用されるパースペックスという素材の板を会場の壁に引用し、ピンクのカーペットで会場床を染めた。

ベルスリーブのシャツやアシンメトリーのスカート、ウエスト部分にギャザーの入ったドレス、網とレースを重ね合わせたドレス、縦に直線のラインが入ったタイツとブーツといった具合に、ルックの中でも予測不可能な光が差し込むように、曲線と直線が交差した。

それらは複雑であるようにも見えるが、単体で見るとシンプルな構造。

新たな技を開拓したというよりも、多くのベーシックなアイディアを綿密に組み合わせ形成されている。

インスタレーションアートのように仕上げたショーは、理解するのは容易ではないが、結論はシンプルである。

交錯するように見える光はただまっすぐと、3.1 Phillip Limの明るい未来を照らしているに違いない。