2月15日ニューヨーク・ファッションウィーク8日目は、アメリカファッション業界の二台巨頭Michael Kors(マイケル・コース)とRalph Lauren(ラルフ・ローレン)がショーを開催。

ニューヨーク・ファッションウィーク7日目までの筆者のレポートをフォローしてくれている読者なら、この2ブランドが今季何をコレクションで表現したか想像がつくかもしれない。

そう!もちろん“アメリカ”!

その中で、スペイン生まれのDelpozo(デルポソ)は独自のカラーで存在感を発揮した。

8日目最初のショーはMichael Kors。午前中からセレブリティが彼のショーに集結し、会場外にはパパラッチが奮闘していた。

出産を終えて間もないGossip Girl(ゴシップ・ガール)のヒロインを演じたBlake Lively(ブレイク・ライブリー)はMichael Korsのショーの常連。青い瞳、ブロンドヘアにグラマーボディ。アメリカ男性が最も好む、モテ女子代表のような人物。

セレブの中には日本のタレント、森星の姿も。森英恵の孫ということもあってか、海外メディアからも注目を集めていた。

ショーはクラシックなアルスターコートのルックからスタートした。1860年代後半に登場した、コートの元祖と呼ばれるアイテム。

ノッチドラペルがデフォルメされ、脇下あたりから腕が出るように、伝統的なアウターに改良を加えている。

その後もピーコート、ラップコート、トレンチコート、マスキュリンなスーツジャケットなど使い勝手の良い定番アウターが多く登場した。

それらはラウンドショルダーやコクーン柄、スリーブも袖丈にぴったりのクロップドタイプで、極めて女性らしいフォルムをしている。

 チューリップシェイプの丸みのあるスカートや胸下あたりまでざっくり開いたドレス、体のラインを強調させるウエストの太ベルトなど、常套句として語られ続けるデザインでフェミニンへアプローチ。

しかし決してコンサバティブではなく、モダンで新鮮なアイテムとして印象づけられたのは、床を引きづるように長いフリンジやアシンメトリーのタートルニットなどディテールにMichael流のモダンなエッセンスが散りばめられていたからだろう。

 スペイン、マドリードで1974年に生まれたDelpozoは“プレタ・クチュール”(既製服を意味するプレタ・ポルテとクチュールを合わせた造語)と呼ばれるほど、スペインの高い技術を守り続けるブランド。

オートクチュールで経験を積んだスペイン人のJosep Font(ジョセップ・フォント)がクリエイティブ・ディレクターに就任した2012年以降、ブランドの美学を忠実に受け継ぎながら、グローバル化が進んでいる。

今季も、構築的なフォルムとボールドなカラーパレットでブランドの進化を見せつけた。

パフスリーブのケープ、折り紙のように形成したスリーブのAラインコート、シフォンを幾分にも重ね合わせたスカートなどは服という概念を超えて、現代アート作品のような構造だ。

曲線を描くアイテムが多いが、一切乱れることはなく規律正しい調和がとれている。

序盤はプリントではなく色味で華やかさを演出したが、終盤はクチュリエによる刺繍やビーズの装飾で優美に彩った。

「ファッションが生み出すものは夢」だとJosepが語る通り、淡い夢の中へいざなわれるように、Delpozoのエレガンスの世界に魅了された。

 先シーズンに続き2回目となるSEE NOW BUY NOWでコレクションを発表したRalph Lauren。

会場床には砂が敷き詰められ、壁には白い花が咲いていた。コレクションテーマは“オアシス”。

砂と同化しそうなサンドカラーがコレクションの大半を占める。

ファーストルックに登場した、シルクの艶やかなワンショルダーのドレスは、風に舞うように軽やかで美しい。

テイラードのセットアップもトーンオントーンで堅苦しさとは無縁。

ドレスやスーツなどフォーマルなルックの合間に登場した、ジャンプスーツやカーゴパンツはミリタリー要素の強いアイテムではあるが、素材とカラーのおかげか、毒気は抜かれ優しさに溢れているようだった。

 徐々にトーンは深くなり、サハラからブラウン、ブラックへと、まるで砂漠地帯が夜へと更けていくような変化に見える。

そこから一気にシャイニーなシャンパンゴールドのイブニングドレスが続き、夜な夜な夜会を楽しむセレブリティのためのコスチュームでフィナーレを迎えた。

Michael Kors同様に、ベースとなるのはアメリカンクラシック。しかしRalph Laurenは絶妙なカラーと素材でモダンにアップデートさせて魅せた。

 だだっ広い砂漠を旅するように、現実世界を生き抜くのは厳しいかもしれない。

しかしファッションは時に人を癒し、希望となる。Ralph Laurenはそれを見事に表現し、多くの女性にエネルギーを与えるような、優しさと力強さを持つブランドなのだ。