3月2日パリ・ファッションウィーク3日目はchloe(クロエ)、Isabel Marant(イザベル・マラン)、Off/White(オフ・ホワイト)、続く4日目はLoewe(ロエベ)がコレクションを発表した。

2011年から chloeのクリエイティブ・ディレクターを務めたクレア・ワイト・ケラーは、今季でブランドを去る。

60年代や70年代のムードを引用しつつ、ボヘミアンで自由奔放なクロエ・ガールを創り上げた彼女。シースルーやふわふわとしたフェミニンなクロエらしいアイテムだけでなく、トラックパンツやモーターサイクルパンツなど今までのイメージとは違った提案で、常に挑戦的だった。

ラストコレクションとなった今季も、テイラードやオーバーサイズのワークジャケット、ワイドパンツなどマスキュリンなアイテムを用いてフェミニティを表現。

胸元がハート型に開いた真っ赤なミニドレスは、70年代のパリジェンヌそのもののイメージだ。

彼女の退任を惜しむ声も多かったが、最後は盛大な拍手で見送られた。次なるクレアの挑戦にも目が離せない。

デイウェアからイブニングウェアまで幅広いワードローブを展開したIsabel Marant。

ドレープの効いたフラワープリントドレスや、ワンショルダーのドレス、太いベルトをアウターの上から重ねて体のラインを出すなど女性らしさは感じるが、力強さもある。

それはパワーショルダーや上質なベルベット素材を多用したことと、ミニスカートやドレスにニーハイのブーツを合わせて、極めて肌の露出は少なかったためだろう。

男性もののパンツスーツやテイラードジャケットなども登場し、まるで恋人や旦那のクローゼットから自由にアイテムを引っ張り出してきたような感じ。

作り込むのではなく自然体にキマってしまうノンシャランな雰囲気は、まさにパリジェンヌらしい自由なマインドが体現されている。

GIVENCHY(ジバンシィ)のクリエイティブ・ディレクター就任の噂が広がっているヴァージル・アブローのブランド、Off/Whiteは今季、強いストリート感を脱却してより洗練されたセクシュアリティにアップデートされた。

胸下をカットオフしたショート丈のデニムジャケット、サーモンピンクのシルク素材のフレアワンピース、繊細なレースでミステリアスな魅力を放つドレスなど、これまでになく女性性にフォーカスされている。

ストリート感が強調されるはずのオーバーサイズのスウェットもツヤのある素材で、ラグジュアリーをミックスした。

ショート丈のダウンも、アシンメトリーのドレープが美しいドレスと合わせて、やはりストリートよりもセクシーさが際立つ。

ストリートとラグジュアリーのバランスを均等に保ち、的確な提案を打ち出したようなコレクション。これまでのOff/Whiteファン、そして新たな層へとアプローチをかけたようで、まだまだ勢いは衰えそうにない。

ヴァージルの新たな一面を見せ、ますます噂に真実味が帯びてくる…。

3月3日の朝、Loeweは今季もUNESCO(ユネスコ)を会場に、ショーを開催した。

招待状にはハンド刺繍で”You Can’t Take It With You(あの世には持っていけない)”の文字が。

意味深な言葉ではあったが、コレクションを見た後にこのメッセージは決してネガティブではなくポジティブな意味だということが明らかであったし、ファッションを楽しむという純粋な想いが伝わってくるようで、とても晴れやかで楽しい気持ちを共有できた。

今季はドット、ストライプ、チェックなど柄物も、シルエットも素材も多岐にわたる。

ベルスリーブと大きなボウタイが特徴的なドット柄のドレス、チェック柄のコットン地とブラック一色のシルク風の布を2枚合わせて作られたオフショルダードレス、「LOEWE」のロゴの刺繍が入ったニットセーターなどカジュアルからドレッシーなアイテムまで幅広い。

異素材ミックスやスタイリングなど、とにかく自由奔放に好きなものを詰め込み、良い意味で統一感がない。

これまでのコレクションで見られたロングアンドリーンでタイトな洗練されたドレスも登場したが、今まで以上に遊び心がふんだんに盛り込まれていた。

真意はおそらく、多くのものをあの世へも未来へも連れて行くことはできないからこそ、この瞬間を楽しもうという姿勢。

世の中の回転は速く、明日すら何が起こるか分からない。一寸先は闇だとしても、今を楽しめばいい!そんな無邪気で純粋な気持ちがふつふつと伝わってくるようなコレクションであった。

しかし、やはりできることなら長く長くずっと一緒に歩んで欲しいし、あの世でも着用したいと思うような愛らしく上質なアイテムが多く、心をくすぐられた。