連載企画【新進デザイナー】。第六回目は、Central Saint Martins (セントラル・セント・マーチン)在学中に発表したStüssy (ステューシー)のコラボレーションで一躍その名を広め、卒業と同時に自身の冠したブランドを立ち上げたデザイナーのKiko Kostadinov(キコ・コスタディノフ)

Stüssyとのコラボレーションは販売前から問い合わせが殺到し、ファッションウィーク期間中にロンドンのブティックMACHINE-A(マシーンA)に並ぶ頃にはストリートスタイルスナップを席巻し、SNS上でバズとなっていた。2016年Central Saint Martins(セントラルセントマーチンズ)の卒業コレクションとして発表したものを、自身のブランドのファーストコレクションとしてブランドをスタート。

ロンドンの若手デザイナーの登竜門NEWGEN(ニュージェン)にも2度選出され、華やかなスタートを切り、最新コレクションはDOVER STEREET MARKET(ドーバー・ストリート・マーケット)とタッグを組み、NY店、銀座店にてインスタレーション形式で展示された。デビューして間もなく、Mackintosh (マッキントッシュ) の新ライン「Mackintosh 0001」のクリエイティブ・ディレクターに就任し、次世代を率引するファッションデザイナーとして世界から注目集めている。Forbes誌にて「30 Under 30 Europe 2017」(ヨーロッパの30歳以下の重要人物30人2017年度版)にも選ばれている。

一方で、華やかな経歴とはうらはらに、彼の作る服はミニマルでシンプルだ。機能性の高いユニフォームのファンクションンという部分に着目し、独自のパターンワークで形成される。

“人が服を纏った時に生まれる空間やアティチュード”をも計算し、デザインに取り組んでいるという。ユニフォームの着心地の良さと無駄のないモダンな表現で再解釈される、Kiko Kostadinovのコレクション。ブルガリア出身、現在ロンドンベースで活動をする26歳の彼は、謙虚で腰が低く、真摯に服作りと向き合い続ける。StüssyやDOVER STREET MARKETとのカプセルコレクション制作の経緯、自身のブランドについて訊いた。

Q:ファッションに目覚めたきっかけ、デザイナーになりたいと思ったのはいつ頃ですか?

特定して“いつ”っていうことではないですね。ブルガリアで生まれ育ち16歳で家族とともにロンドンに越してきました。幼少期から服が好きだったし、歳を重ねるにつれてハイファッションというものの本質を理解していくようになり、服そのものへの興味がより深くなっていったと思います。その過程でファッションに導かれるように、今の自分がいるのかなと。

Q:Central Saint Martinsへの入学を決めたきっかけは?

ロンドンに来てからすぐ、3年ほどITの勉強をしたけれど、その道に進みたいとは思っていなくて。Central Saint Martinsに通っている友人の手伝いをしたり、個人的に服作りを楽しんでいるうちに、入学しようと決めていました。

Q:在学中に制作したStüssyとのカプセルコレクションは大盛況でしたよね。コラボレーションの機会はどのように訪れたのですか?

当時スタイリスト、スティーブ・マンのアシスタントを務めていました。彼が手掛けるファッションストーリーのために、僕がいくつかスウェットシャツをリメイクして、それをStüssy  UKのマイケル・コッペルマンが凄く気に入ってくれたんです。正式にオファーをいただき、1回目の制作に取り掛かりました。僕にとって馴染みのあるブランドというわけではなかったけれど、だからこそ自由にリメイクができ、多くの人に受け入れてもらえたんじゃないかな。

Stüssyのカプセルコレクション

Q:学生の間にプロダクト制作に関われる、しかもStüssyのような大きなブランドで、というのは素晴らしい経験になったのではないでしょうか?

とてもなりました。プロダクトとして服を捉え、コンセプト主導型でデザインを考える過程というのは、今に繋がる重要な経験となりました。その時興味のあったファブリックを使用するなど、実験的に服作りができ、デザイナーとして大きく成長させてくれました。

Q:Kiko Kostadinovのファーストコレクションであり卒業作品となったピースたちは、Stüssyとのコラボレーション制作とはプロセスが違ったと想像できるのですが、どのように取り組みましたか?

Stüssyでの経験は生きています。しかし、自身のブランドは自分自身のアイデンティティによりフォーカスし、自分が何を着用したいかを探求しました。求められるものより、自分の欲望に重きを置いて。その時から今も変わらず、僕が制作していきたいのは、タイムレスで未来の定番となる“新しいユニフォーム”。

ワークウェアを軸となっていても、古く見えたり、30年代風のスタイルになるのは嫌。もちろんその時代のヴィンテージ服は、それはそれでクールだと思うけれど、僕は現代の人々が今着たい、モダンなワークウェアを作りたかった。だからさまざまな過程を経て、ミニマルで凛としたプロダクトにフォーカスしたんです。

Q:具体的に、どういった点に注力しましたか?

高い機能性を出すためには、ディテールとカッティングが重要だと考えています。例えば、脇下から裾にかけて両サイドと肘部分にアクションプリーツを設けて、動くやすく。ハンティングやフィッシングのワークウェアに付けられている、一時的に捕らえた獲物を入れていれておくポケットを取り付けたり。人間の動きを分析し、フィットやカッティングに凝ることは必要な要素であるにも関わらず、今の多くの若手デザイナーには欠けていることでもあると思います。ヴィジュアル的な装飾を施していくのではなく、できる限り削ぎ落としたデザインで、モダンなユニフォームを手掛けていきたいですね。

 

明日の後編に続く。。