9月15日ロンドン・ファッション・ウィークの初日、ロンドンでは地下鉄爆破テロのニュースが飛び込んできた。

爆破自体は失敗に終わり、負傷者はいたものの死者は出ず、容疑者2人も数日のうちに逮捕された。

ファッション・ウィークは人が集まるだけに不安はあるが、厳しい厳戒態勢の下、無事に会期を終えて20日にはミラノへとバトンを繋いだ。

今季のロンドン・ファッション・ウィークは”ロマンチックムード”に溢れていた。

思わず「かわいい!」と口に出してしまいそうなコレクションが多く、うっとり見惚れるばかり……。

しかし、その”かわいい”には多くの側面があるようで、デザイナー各々が描き出す世界観は異なっていた。

Simone Rocha(シモーネ・ロシャ)は今季、幼少期に持っていた壊れた人形からインスピレーションを得た。

中国人形のそれは、ヴィクトリア調のドレスを身に纏い、とにかく美しかったという。

チュールやシルク、レースなどさまざまな素材を用いて、序盤は純白なルックで飾った。

徐々に黒へと変化していき、フラワーの刺繍をあしらってノスタルジックな印象だ。

終盤は純白へと回帰するも、オーガンジーやレースで肌を透けさせて、無垢な中にも色気を感じられた。

疑う余地もなく、純真無垢で幼げな可愛さを表現したコレクションに、童心にかえるようにショーを楽しんだ。

Molly Goddard(モリー・ゴダード)はシグネチャーであるチュールのフワフワとしたドレスの他に、コットンギャザー、オーガンジー、スパンコールなど新たな生地による巧みなシルエットも披露した。

フリルやタフタによってユラユラと大きく揺れ動くドレスは、使い古されたヴィンテージ風のブーツとスタイリング。

モデルはまっすぐ歩くのではなく踊ったり、心もとない足元で進んだりと、楽しげな雰囲気だ。

ストーリー設定としては、医者から禁酒を命じらせた女性が、ギャラリーのオープニングに向かう途中の光景。

ファーストルックはウィスキーを入れたグラスとタバコを両手に持ち、可愛いながらもどこかカッコよく写った。


フラワーや植物のボタニカルモチーフがシグネチャーであるERDEM(アーデム)。

今季はエリザベス2世の若かり頃に想いを馳せた。

もしも彼女がコットン・クラブ(20年代にアメリカに存在した、白人だけが立ち入り可能な高級ナイトクラブ)に行ったら、という設定だ。

ジャガード織のドレスやコートにはユリやカーネションのフワラー柄をあしらい、大きなリボンやビーズとパールでさらにデコラティブに仕上げた。

ロイヤル・ファミリーの名を汚さぬ、崇高なコレクションであった。


Burberry(バーバリー)はストリートスタイルへと大きく舵を切ったようだ。

Gosha Bubchinskiy(ゴーシャ・ラブチンスキー)とのコラボレーション・コレクションの延長線かのような、伝統とモダンを融合させた巧みなコレクションだ。

お決まりのチェック柄はレインコート、キャップ、ベストなどに変容。

See Now Buy Nowで即座に購入が可能で、翌日にはショー会場でバーバリーチェックのレインコートを着用した業界関係者を発見した。

今季のJ.W.Anderson(JWアンダーソン)は非常にまとまりのある、落ち着いたコレクションだった。

サマーニット素材のタンクトップワンピースがファーストルックを飾り、アイリッシュ産のリネン素材や、洗いざらしのコットン、柔らかいナッパレザーなど柔らかく肌馴染みのよい素材が多用されていた。

フィットとフレアの交差、アシンメトリー、袖口の長いリボンなど、Jonathanらしいディテールはあるものの、ウェラブルな要素の強い内容である。

しかしコマーシャル的でもなく、退屈でもない。むしろ洗練されてリラックスした雰囲気に、安らぎさえ感じられた。

ブランド10年目にして、新たな一面を見せてくれたJ.W.Andersonには、まだまだ多くの魅力が隠されているのかもしれない。

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