変革や変化が必要なときというのは、内側から変わる必要があるのはもちろんだが、外側の力も加わらなければいけないのかもしれない。

21世紀に入り女性の自動車運転が認められていなかった世界唯一の国サウジアラビアでついに解除令が出たように、私たちは今、大きな転換期にいる。

これを象徴するひとつの例として、DR(デンマーク放送協会)によると、デンマークにあるモデル事務所Unique Modelsは、ヒジャブを着た女性、21歳のAmina Adan(アミナ・アダン)を雇用したという。
 

彼女がファッションシーンに必要とされる理由


この事務所の理事長Jacqueline Mikkelsen(ジャクリーン・ミケルセン)氏は、DRにアダン氏という突破口は素晴らしいニュースだと語っている。

私はモデル業界に30年以上いて、黒人やアジアの女性を雇用するときはいつでもとても嬉しい。だからアミナは我々のダイバーシティを体現する女性たちの一人に過ぎないんです。けれども、新しく雇った黒人というのはヒジャブを身につけた誰か、というように考えているわけではありません。美しく、大きな可能性を秘めているから彼女はここにいるんです。

また彼女は、デンマークのファッション業界はムスリムの女性がモデルとなる製品の準備ができていると感じるという。
 

今回の件は我々に創造性をもたらすと考えます。特にデンマークのファッション業界が次の段階へとステップアップして、もっとクリエイティブになってほしいし、アミナの存在が他の人々にとって平等に開かれる足どりになることを期待しています。それにはちょっとの創造性が必要かもしれませんが、この国のファッション界が持っているものと信じています。

 

今後の少女たちの道標に

 

これを受けて、ファッション専門家でテレビの評論家であるChris Pedersen(クリス・ペダーセン)氏は、ヒジャブを着用したモデルの起用は極めて稀だと語る。
 

世界的に見て、ヒジャブを着ながら仕事をしているモデルはほとんどいません。米国に、大きなファッションハウスや百貨店が行うショーで活躍しているたった一人の若い女性がいるが、とても小さな活動範囲で、つまり発達初期の頃ではそれが精一杯ということだ。

モデル業界での多くの議論が、たくさんの少女たちがモデルの女性をロールモデルとして捉えるので、モデルの地位を上げるべきという理想に焦点を当てている一方で、ペダーセン氏はムスリムの女性は体重やジェンダー、肌の色に着目された議論とはまだ引き離されていると語った。
 

若いムスリムの女性にはロールモデルが必要なことは紛れもない事実であるし、今これを見ていてロールモデルを推進させたいファッション界の人間たちがいるのも間違いない。

筆者は英国へ留学した際に多くのムスリムの女性たちに出会い、彼女たちが今何を考えているか議論する機会があった。

それまで自分にとって彼女たちはベールに包まれた神秘的な存在だったが、話を聞いていると自分の夢と社会的に求められている義務や役割の狭間で葛藤している様子に、感銘という言葉は正しくないかもしれないが、強い衝撃を受けた。

彼女たちの話は普段自分の周りにいる友人や同僚たちからなかなか聞くことのできない熱を帯びていて、今でも自分の中に強烈に残っている。

その内側から溢れ出ているハングリー精神に、外側の世界が追いついていないという状態を変えていく時期に差しかかっているのではないだろうか。

 

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