ヴィクトリア女王とインド人使用人のアブドゥルの友情関係を描いた映画、『ヴィクトリア・アンド・アブドゥル』。インドを舞台にヴィクトリア女王をジュディ・デンチが、使用人アブドゥルをアリ・ファザールが熱演している。

スティーブン・フリアーズ監督のこの作品は、9月に公開されている。この壮大な歴史映画の衣装を担当したコンソラータ・ボイルがその19世紀ファッションの魅力を語る。

Photo: Peter Mountain / Focus Features

映画衣装デザイナー、コンソラータ・ボイルとは

コンソラータ・ボイルは長年映画衣装デザインに携わり、フリアーズ監督とは付き合いが長く、映画『クイーン』ではオスカー賞にノミネートされ、また同じくオスカーにノミネートされた『あなたを抱きしめる日まで』でも活躍した。

『ヴィクトリア・アンド・アブドゥル』では、最初召使いだったインド人のアブドゥルが女王との信頼が高まるにつれ、権力を振るうようになっていく。

時代は大英帝国がインドを植民地化していた頃のことである。

衣装はすべて黒ずくめ!

実話を元にした映画だが、実際の二人の関係を示す書類は破棄されており、また、ヴィクトリア女王の夫のアルバート公が1861年に死去して以来40年ほど、女王の服はほとんど喪服の黒だった。

ヴィクトリア時代の衣装については、すべて女王に従い他の者も黒い衣装が多いため、カメラマンのライトのテクニックで黒のトーンを生えるようにしていき、光る黒玉など凝った装飾や刺繍などを再現していったという。

また女王とアブドゥルの関係が深まり、女王が生きる喜びを見出していく心の変化を表現するために、様々なパープルやブラウンなどの喪服やレースやシルクなどを微妙に使い分けて演出している。

インド人のアブドゥルの衣装も最初は王族に従える召使い風な衣装だったが、女王と懇意になり、女王の教師になるにつれ、衣装も派手になり、気取った風合いに変化していく。

Photo: Peter Mountain / Focus Features

映画冒頭の女王の寝起きからの着替えのシーンや、大勢の人数の大宴会のシーンも大勢の衣装チームでやりとげた。

喪服ばかりのダークトーンの衣装を精巧に演出しきった壮大な歴史映画は時代ファッション観点で見つめても面白い。

壮大なスケールの歴史映画は細部に至るまで趣向を凝らされた衣装デザインにも着目したい。