オランダ人デザイナーAnouk Wipprecht(アヌーク・ヴィプレヒト)は自らの感情に嘘をつけなくなる時代が来る、そしてハイテクファッションこそがその鍵になると信じている。

デジタルテクノロジーとエレガントなクチュールを組み合わせた彼女の作品は、社会的規範から外れ、自分自身へのごまかしに対する解決策になることを開発にあたるエンジニアに願っている、とミラノファッションウィークで語った。

32歳の彼女はアメリカンフットボールの最高の大会であるSuper Bowl(スーパー・ボウル)で、パフォーマンス中の『Black Eyed Peas(ブラック・アイド・ピーズ)』のスターFergie(ファーギー)が彼女の衣装を着たことを既に確認している。

出典 http://www.zimbio.com/photos/Fergie/Bridgestone+Super+Bowl+XLV+Halftime+Show/S7jVq_c5p4c

彼女の常識を覆した破壊的なデザインの一つにクリスタルメーカーSwarovski(スワロフスキー)と共同開発しているもので、着る人の心臓の鼓動によって瞬きするセンサーを内蔵した作品がある。

それはシンプルに聞こえるし、画面上に生き生きとした姿が現れるというのはどちらかというと感情表現豊かとも言えるかもしれないが、本来の自分をそれまで以上に相手にさらすということでもある。

想像できるだろうか?

こんな服を着て、単なる友人ではなく特別な人と話す……

例えば就職の面接であればあなたが緊張していたりワクワクしているのを心臓の鼓動から相手に分かってしまうのである。

「これは確かに鳥肌が立つことよね。あなたはそれをコントロールすることはできないし、あなたの顔は真っ赤になってしまうと思うわ。でもだからこそ、純粋な感覚で、あなたの感情を相手に伝えるのよ。」と彼女は言う。

「もしあなたが心臓の鼓動を袖に現していたら、それはあなたを本当にぎこちない状況に追いやることになると思うけど、私にとってそれはものすごく興味深いわ。」

人間の行動とデジタル・クチュールが出会うことの魅力は、既に彼女の顕著な実験を呼び起こしている。

一番有名なのは、”スパイダードレス”と呼ばれているものである。

3Dのプリントがされた衣装にはロボットスパイダーの足が飛び出た襟がついている。

これは、着ている人のパーソナルスペースに誰かが近寄り過ぎた場合、足はジャンプするか、または攻撃するらしい。

さらにヨーロッパ、中国、アメリカでこのドレスを披露したところ、彼女は興味深い発見をした。

「オランダの人が素早く近づいてくる中、アメリカの人はもっとジェントルマンだったの。皆離れたところから見てたわ。」と彼女は言う。

出典 https://technabob.com/blog/2014/12/23/robotic-spider-dress/

これまでほとんどをニューヨークとカリフォルニアのシリコンバレーで過ごした彼女のクリエイター人生は、ヴィプレヒトにとっては早い段階から始まっていた。

彼女は14歳の時、”表現的で、コミュニケーションがとれるから”という理由でファッションに恋をしデザインを学び始めた。

そしてそれがロボット開発に至ったのである。

「私にとってロボットは単純に脳みそと心臓の鼓動を持っているものだった。そしてそれこそが、生地や洋服に持って欲しかったものなの。」彼女はそう言う。

2000年半ば、彼女がまだ大きなコンピューターを衣装に固定している時、彼女はArduino(アルデュイーノ)のコミュニティーを発見した。

アルデュイーノはオープンソースのハードウェア及びソフトウェアの会社で、元々イタリア北西部の町Ivrea(イヴレーア)の町にあるバー”アルデュイーノ”に創業者がよく集まったことからこの名がつけられた。

そしてこのコミュニティーはヴィプレヒトのように自らデジタル機器を作るためにこれらのキットを使う人たちの集まりでもあった。

彼女は自身の作品がいつかランウェイをリードするだろうと楽観的であるが、今はロボット作品の限界を推し進めるのに集中しているところだ。

「私が取り組んでいることは、刺激的でより実験的なものになっているわ。もし私たち皆がライトが点いて色が変わるだけのドレスを作ったら……それはものすごくつまらないわよね。」

彼女のコレクションがランウェイで披露される時は来るのだろうか?

そしてもしそうだとしたら、私たちはモデルたちの心臓の鼓動を目の当たりにするのであろう。