10月4日パリ・ファッション・ウィークが閉幕した。

今季もフランスの伝統芸ともいえる高い技術を駆使したコレクションや、創造性に富んだクリエーションで世界中の人を魅了した。

パリコレを終えた今の率直な感想が、華やかで前向きで快活だったと言いたくなるのは、春夏シーズンだからという理由だけではない。

Dries Van Noten(ドリス・ヴァン・ノッテン)の言葉を借りて「楽観的に楽しもう!」、シンプルにその言葉に要約されるようなシーズンだったのだ。

その楽しみ方の提案も、宇宙や幻想への逃避ではなく、現実に目を向けて今あるこの世界での楽しみ方に感じられた。

今季はキエフから取材の旅が始まった筆者は、怒涛のスケジュール(特にロンドン)に嘆きたい気持ちもあったが、今季最も多忙を極めたKaia Garber(カイア・ガーバー)に比べると、月とすっぽんかもしれない。

シンディ・クロフォード(Cindy Crawford)の娘として若くから注目を集め、ついに今季でランウェイデビュー!

これから様々な広告や雑誌カバーを飾るであろう16歳の彼女に注目していきたい。

今季最も期待を寄せていたのは、初めてパリでのショーを開催するAltuzarra(アルチュザラ)。

結果的に、コレクションは大きく裏切られる結果となった、もちろんいい意味で。

着想源となったのはもののけ姫とNative Funk & Flash(ネイティブ・ファンク・アンド・フラッシュ)といった、自然を題材とした物語だと語ったデザイナーのJoseph(ジョセフ)。

グランジが効いていても決して野暮ったくはなく、フランス的な気の利いたセクシュアルなスパイスを加えて、都会的な女性像が浮かび上がる。

フリンジやヌバックといったウエスタンなディテールはアメリカ的でもある。

先シーズンのヴィクトリア朝のドレスに溢れたコレクションの方が遥かにフランスらしく、パリでの発表となった今季は自身のルーツを辿りながらも決してパリに媚びることのない結末となった。

Josephとは対照的に、最もフランス的だったと感じたコレクションはNatasha率いる新生Chloe(クロエ)だ。

可愛さと潔さが共存し、気楽でありながらも優雅である。それはまさにChloeが描くフランス女性で、初となるコレクションで見事にそのアティチュードを導き出した。

装飾的なトップスやショーツ、クラフトマンシップが宿るハンドニットセーター、マニッシュなパンツスーツ、硬さと柔らかさをミックスしたスタイリングは甘くもあり大胆でもある。

フィナーレは拍手喝采で、新生Chloeは素晴らしいスタートを切った。

Chloeとは異なる優雅さを感じたのは、Loewe(ロエベ)。

南アフリカのファブリック、インドのペイズリー、南フランスやバリのビーチの貝で作られたペンダントなど、生地や素材の多様性は今季抜きん出て一番だった。

Jonathan Anderson(ジョナサン・アンダーソン)が描いた、自然を愛するボヘンミアンな女性は肩の力が抜けていて極めて優雅である。

パッチワークやアップリケ、テーラードジャケットといったアイテムは同じシルエットで素材やディテールを変えて繰り返される。

それらはJonathanらしいアーティスティックな魅力は感じられるが、彼は自身のLoeweでの役割を深く理解しているようだった。

名高いメゾンブランドを自身の才能を発揮される場として利用するのではなく、ブランドの強みを磨き、モダンに牽引するという役割だ。

Thom Browne(トム・ブラウン)やAlexener McQueen(アレキサンダー・マックイーン)はフランスのクチュール技術を使った花の装飾で彩った。

CHANEL(シャネル)は会場に滝を作り、自然が与えてくれる”癒し”を再考するようなコレクションを披露した。

これらは理不尽な問題の多い現代において、私たちは改めてこの世界の素晴らしさ、美しさに目を向けるべきということなのだろうか? 技術の進歩への反動として、自然へと回帰しているのか? パリ協定離脱を発表したトランプ大統領へのささやかなメッセージか?

1ヶ月以上続いたファッション・サーキットを終えて、大自然の中で深呼吸したいという気分こそが筆者の中での答えだった。

素晴らしい活躍を見せてくれたKaiaも、自然に癒される時間を設けられることを祈る!