デジタル広告の発達により雑誌などの紙媒体広告が圧迫されるようになり、雑誌はこれまでにはなかった「表紙広告」という手法をとるようになった。

イギリスのカルチャー誌Dazed & Confused(デイズド・アンド・コンフューズド)の最新号はAdowa Aboah(アドワ・アボワ)が全身Burberry(バーバリー)のコーディネートで表紙を飾った。

同じくデイズドメディアから出るAnOther(アナザー)の表紙は全身Gucci(グッチ)のモデルが表紙だ。

デイズドメディア同様、バーバリーもグッチもコメントを控えているが、両誌のカバーページともパートナーシップの一部として契約料が支払われた広告のような印象を受ける。

表紙までをも広告に変えてしまうという、一昔前は考えられなかったようなことがファッション誌では頻繁に起こるようになった。

2014年には、『ELLE』などを発行する、Hearst Magazines(ハーストマガジン)など大手出版社が広告表紙を試みていた。

表紙広告は「超特別枠」として、通常高い広告価値のある裏表紙、目次の隣のページなどよりもかなり高い金額でやり取りされる。

ハーストマガジンが手がけるアメリカ版Marie Claire(マリー・クレール)がいち早く表紙広告を実践した雑誌で、2014年にGuess(ゲス)とパートナーシップを結び特別袋とじの表紙を開発した。

紙でできたジッパーを開けると、もう一つの表紙が下から現れる仕組みになっており、こちらの表紙にはゲスのロゴが掲載されている。

さらにハーストマガジンはイギリスでもSamsung(サムスン)のような大手ブランドとコラボし、オリジナルの表紙広告を製作している。

ハーストマガジンが手がけるHarper’s Bazaar(ハーパーズバザー)2015年8月号の表紙はサムスンギャラクシーS6を持つ女性の写真だ。

テクノロジー商品とコラボした今までにない表紙のおかげで、同誌は2014年、商業的に最も成功した雑誌となった。

広告主がオンライン上で消費者の動向を観察し、デジタル広告に多額の予算を費やすようになってからというもの、雑誌は大きな危機に瀕しており、印刷された広告からの収入は、2021年までに2012年の136億ドル(1兆5000億円)から67億ドル(7500億円)にまで下がると言われている。

雑誌にとっての長期的なリスク

ブランドの存在感を示し読者の記憶に残りやすい表紙広告という戦略は、広告主にとっては非常に有用な方法として定着してきており、また雑誌にとっても経済効果をもたらすものの、長期的な目で見ると表紙広告は雑誌の一貫性やブランドエクイティに影響を及ぼしかねない。

雑誌読者は広告とメディアを結びつけて考えがちなため、表紙広告を濫用することでメディアの独立性がおびやかされていく危険性があるのだ。

過去、表紙広告はタブー視され、読者のために内容の統一性を守り、独立していてユニークな雑誌が良しとされてきた。

今でも表紙広告を使わずに雑誌の独立性・独自性を保つ努力をしているメディアの方が長期的には有利だと分析する人たちもいる。

表紙広告は革新的な手法ではあるものの、利益のために犠牲を払うことを強いられる難しい戦略であるといえるだろう。

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