市場細分化に合わせたビューティーブランドの動き

これまでのマスメディアは大手ブランドの成長をサポートしてきたのと対比的に、今日のデジタルメディアは特定の消費者層にアピールするニッチなブランドをサポートしている。

さらに多くのデジタルメディア広告がブラインドオークション的に運営されるようになり、伝統的なメディアでよく見られたような大手ブランドをひいきする動きは以前よりも目立たなくなった。

そして、Eコマースによって今や在庫保存の倉庫は無限大、広告掲載料の必要もなく、消費者と直に対峙するビジネスモデルがなくなったことで、我々は市場の細分化に直面している。

この変化を受け美容業界ではL’Oréal(ロレアル)やEstée Lauder(エスティー・ローダー)などの強豪大手がチャレンジをしかけ、ニッチなブランドを買収しその市場を世界へ開拓していった。

ロレアルはNyx(Nyx)やIt Cosmetics(イットコスメティックス)を、エスティー・ローダーはBecca(ベッカ)やToo Faced(トゥーフェイス)などを買収し世界的なブランドへと育て上げたことが例としてあげられるが、こうしたチャレンジには資本投資が求められる。


一方で、Parfums Christian Dior(パルファン・クリスチャン・ディオール)、Parfums Givenchy and Guerlain(パルファム・ジバンシイ)などの由緒あるブランドやBenefit Cosmetics(ベネフィット・コスメティックス)、Fresh(フレッシュ)などの比較的新しいブランドを多数傘下に置くLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は、こうした抗争からは一歩引いたところにいると言えるだろう。

しかしLVMHが運営するFenty Beauty by Rihanna(フェンティ・ビューティー・バイ・リアーナ)が成功を収めたことが、LVMHのビジネス展開モデルを改変する契機となるかもしれない。

もしそうなれば、LVMHは大きなアドバンテージを持つことになるだろう。

それがSephora(セフォラ)だ。

LVMHの強み

セフォラは数多くのブランドの商品を販売する小売店で、化粧品の百貨店ともいうべき存在で、非常にパワフルなブランドである。

セフォラの運営陣は小売の専門家であり、品揃えとローカライゼーションに関する深い知識と経験を有している。

さらにニッチなブランドの市場展開の経歴としては、エスティー・ローダーのトゥーフェイスを取り扱っている。

つまりLVMHにとってセフォラは、他ブランドを買収するための投資なくしてそれらを運営できる最適なプラットフォームなのだ。

セフォラは様々な土地で新しいブランドの市場を育て試行錯誤するための実験ラボの役割を果たしているといってもいい。

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セフォラの成長とLVMHのチャンス拡大

セフォラの存在理由が現代の市場構造の細分化にうまくマッチしたことで、セフォラの拡大ぶりは競合相手を置き去りにしてさらに加速していくいくと考えられ、LVMHにとっても間接的ではあるが非常に重要な2つの利益がもたらされる。

つまりセフォラが大手のビューティーブランドを店頭で取り扱うことでLVMHのビジネスポートフォリオに大きな安定性をもたらすという点、そしてそれによって世界規模で成長しているミドルクラス的なブランドとLVMHとの提携が促進されるという点だ。

LVMHは美容業界においてより意味のある役割を果たすようになってきているように見える。

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