先日、スポーツ用品メーカー「adidas(アディダス)」は、今後すべての商品に“リサイクルされた再生プラスチックのみ”を使うという新しい方針を発表した。2024年を目標に掲げ、未使用プラスチックの使用を完全に取りやめる計画だ。

このように、環境問題への配慮から、今多くのファッションブランドが廃材に注目している。そんな廃材ビジネスの中で、異質ともいえる“魚の皮”を使った驚きの革製品を紹介しよう。

魚の皮を加工・販売する「Alisam products 」

設立者のニュートン・オウィ―ノ 

アフリカ・ケニアの西部に位置し、ケニア第3位の人口を有する中心都市「Kisumu(キスム)」。ビクトリア湖に面する港湾都市であり、そこで獲れるティラピアやナイルパーチなどの魚を切り身にして、周辺地域や世界中に輸出している。

そんな、漁業がさかんな町キスムに暮らす産業化学者ニュートン・オウィ―ノは、大量に廃棄される魚の“皮”に着目。魚の皮をなめし加工して、靴やバッグ、財布、ベルトなどに変えて販売する会社「Alisam products 」を設立した。

製品は、地元ケニアでの販売の他、アメリカやデンマーク、イタリアなどにも輸出される。

魚の“皮”から“革”へ

出典:https://www.abcbourse.com/marches/au-kenya-les-restes-de-poisson-donnent-des-objets-de-mode-en-cuir_442181_PX1p.aspx

ニュートンの工場に日々大量に持ち込まれる魚の皮。ハエがたかるこの皮から、従業員の女性達が手作業によって残った身を切り離し、それらを木製の梁の上に干して乾燥させる。

その後、地元で採れたパパイヤやアボカドなどから作られた酸性溶液に浸され、これによって皮がなめされる。

さらに、ドラムに入れて皮をまわし(ドラム・ターンと呼ばれる作業)器具から出てきた皮は、より柔らかく、濃い色合いで、臭いも少なくなっている。次いで、ウロコを取り除き、引き伸ばし、再び乾燥させれば、魚の皮は加工がしやすい“革”へと変身する。

ロープライスも魅力の“魚”革製品

出典:https://www.the-star.co.ke/news/2017/03/01/cheap-leather-shoe-imports-strangling-local-sector-lobby_c1515688

出来上がった魚の革製品は、パイソンやクロコダイルのような高級感のあるウロコ模様が特徴。かつ、それらとは大きく異なるのが、手頃なプライスだ。

靴は1,500ケニア・シリング(約1660円)、ジャケットは2000ケニア・シリング(約2300円)で販売されている。

ニュートンは、スラム居住者に雇用の場を提供すると同時に、彼らでも購入できる製品造りに努めている。ワークショップを訪れた彼の顧客達は、地元の魚から作られた革製品を着用する事を誇りに思っているという。

ニュートンの新たな目標は、今後5年間で魚の革製作の学校を創ること。 知識を自分たちのものにしておくのではなく、共有する事によって、より事業を拡大していく予定だ。

廃材を活かし、地元の雇用の場を広げ、買い手にもやさしい魚の革製品。毛皮やレザーの販売を中止するブランドが相次ぐ中で、環境にも人にもやさしい“魚の革”が新たな定番となるかもしれない。

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